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今回は、過去にトヨタ自動車株式会社で常勤監査役を務められた加藤様に、トライズを受講してどれほど英語が向上したのか、お話をお伺いしました。

英語を学ぼうと思ったキッカケ

学生時代から社会人に至るまで英語学習の軌跡をお聞かせください。

最初に英語学習を始めたのは中学校で、ただ単に科目の中の一つというイメージでした。その後、高校生でアマチュア無線を始め、直接英語を使うという経験をしました。 アマチュア無線で海外の愛好家と通信する。初めは非常にカタコトだったけれど、続けるうちにだんだんと慣れも出てきて、ある程度は意思の疎通ができるようになったんです。それが、勉強以外の形で英語というものの世界に接した最初のときです。

もちろん勉強としての英語も大切なので、高校から大学受験までは受験戦争を生き抜くため一生懸命に勉強しました。 高校のときは、ペーパーテストの世界ではそれなりに英語が得意だったし、あの当時、アメリカンフィールドサービス(AFS)という高校生の留学機会があったのですが、その試験にも応募しました。 だけど、これは高校から1人しか選ばれないという非常に激しい競争率だったので駄目だったのですが、いずれにしても英語に対する思いは高校のときが一番強かったです。

ところが、非常に残念なことに、大学に入ってからは英語を捨ててしまいました。当時、昭和40年代はまだまだグローバル化が進んでいなくて、英語で仕事をするという感覚も全くなかった時代。外交官や商社など、特別な分野の方たちは英語を使うという意識をして学んでおられたと思いますが、私自身は英語で仕事をするという考えが全くなくて、ジェネラルな仕事に携わっていきたかったので、むしろ英語は必要ない、かえって邪魔だというイメージで大学時代を過ごしてしまいました。大学の4年間きちんと英語を学習しなかったのは、私の三大後悔のうちの一つです。

その後、公務員試験を受けて27人の同期とともに当時の大蔵省に入省しました。そこでは、4~5人に留学の機会が与えられ、海外での経験をしてみたいなという気持ちから私もテストを受けることに。ただ、私の英語は高校でストップしているし、まして英会話的な慣れもないから、全く箸にも棒にもかからず結果的に留学はかないませんでした。だけど、そのときは英語を用いた仕事が主流ではなかったので、別にいいやと国内仕事に忙しくしていました。

それから、昭和58年、20代のときには銀行局銀行課に異動になります。そこでは外国銀行の担当で、日本で支店を出して活動する外国銀行をスーパーバイズするという仕事を行っていました。当時の日本はバブル前で、ものすごい経済力を持っていてアメリカの企業を買収していたので、どんどん外国人が進出してきていたのですね。それで、私のところにも、免許の取得や事業拡大の相談、業務の報告など、仕事柄たくさんの外国人が訪れることになります。当然、通訳も一緒なので全く支障はないのですが、毎日、毎日、話を聞いていると、少しずつ英語が耳に入ってくるんです。それで、通訳される前にある程度のことは分かるようになってきました。

そして、この時期はパーティーがすごく多かったです。本店から頭取が来るとか、支店開設何周年とか、とにかくパーティーに招待されていました。そういうとき通訳はいないのですが、参加するうちに少しずつ慣れていって雑談する程度のことは、あの当時、何となくできていたような気がします。もう30年以上前の話です。昭和60年からは、ドメスティックな国内の主税局の仕事になったので、結局はそれっきりずっと英語に携わる機会はなくなってしまいました。

そこから本格的に英語学習をスタートされることになった、きっかけをお伺いできますか?

2010年に財務省を退職してからは、第2の職場となる証券保管振替機構という証券決済機関に就職したのですが、その世界はグローバルなこともあって、時々同じような仕事をしている外国人との交流や、年に1~2回ですが世界会議も開催されていました。もちろん通訳が付くのですが、そのときに英語ができたらいろいろ話せるかなと思って、英語学習を始めようという気持ちになりました。時間的にも余裕ができたので、ラジオの英会話講座を聞き始めたのですが、まさにトライズで言われるように、ちょこちょこやっているだけでは全然駄目でした。

英語学習のもう一つの動機付けは、2013年6月にトヨタ自動車の社外取締役、2014年3月にはキヤノンの社外取締役になったことです。どちらもグローバルカンパニーですから、役員には外国人がいるし、役員会にはそのような方々が集まります。正式会議中は同時通訳が付くので何の支障もないのですが、隣に座っている外国人の社外役員と少し世間話をしたくても、全くしゃべれないとよそよそしくなるではないですか。そういうこともあって英語ができないといけないなと、そういう思いだけは、ずっとありました。

私はドリームインキュベータという会社の仕事もしていたので、執行役員の宮宗さんという方と交流があって、「今度、こういう面白い会社に投資する」という話を3年ぐらい前に聞きました。詳しく聞くとトライズという英語の会社で、今までの英会話スクールと違って1年間やれば必ずしゃべれるようになるとうたっている、というわけです。その頃、私の英語に対してのモチベーションが上がっていたこともあり、本当にそんなうまい話があるのかと。その頃はもう64歳だったので、本当に英語ができるようになるのか試してみようという話から始まったんです。

私の中で年齢は不安材料だったのですが、コンサルティングのときに「ヒアリングは絶対に大丈夫です」と。ただスピーキング能力は、たくさん覚えた英語をアウトプットしていくイメージだから、とにかくたくさんインプットしなければいけません。トライズの受講期間を経て、そのギャップは単純な英語力というよりも英語をコミュニケーションとして使う、ある種の場慣れというか自信のようなものも大きかったなと、今になって思います。これは、トライズの受講を通して初めて気づけたところです。

年齢を重ねると、どうしても記憶力が衰えるので、そこは「若干ハンディがあるでしょう」と言われました。もう一つ、1年間は毎日3時間、合計1000時間という話には少し腰が引けたのですけれど、その頃の私の生活パターンや勤務形態からすると、きちんとやる気になれば3時間は確保できる状況でした。車での移動時間もあるし、会議の合間など自由になる時間も多いから何とかなるなと。1年1000時間は本当に必要です。

年を取ってくると面倒くさいことはすごく抵抗になります。その点、トライズでは、とにかく2時間英語の映画を見て繰り返しシャドーイングする、あと1時間は簡単な英作文の本をとにかく構文ごとに記憶する、そして2週間に1回のテストと1カ月に1回はVERSANTを受けるというように学習は非常にシンプルでした。週3回のネイティブ講師とのSkypeレッスンも非常に重要です。やはり1年間はとても大変でしたけれど、朝早く起きたり、行き帰りの車の中で1時間確保したり、昼間の空いている時間にやったりと、私の場合は朝と昼間を使ってずっと学習を続けました。最終的には絵に描いたようにVERSANTの点数も上がっていき、卒業するときは52点まで到達したと思います。

英語を学んで良かったこと

英語を学んで良かったことはございますか?

英語を活字として認識しようとするのではなく、毎日聞いて耳を慣れさせることが大切です。それでヒアリングの力は相当身に付いて、1年経つ頃には英語のプレゼンテーションでも資料があればほとんど分かるようになりました。私の場合、英語が将来の仕事や出世に関係したわけではないですが、やはり英語を理解できて外国人とコミュニケーションを取れること自体は非常に価値があると思っています。

学生時代は受験のためとはいえ一生懸命に学習していました。一生懸命にやれば英語力はすごく上がるのですよね。でも、残念ながら大学では英語をやっている時間を他の勉強に費やしていました。そうすることによる効果を最大にしたという意味では合理性があったのかもしれないけれど、何でもかんでも全て完璧にはできないから、割り切って生きてきたともいえるかもしれません。

その分、英語にはコンプレックスがありましたが、逆に言えば今英語を学ぶことによって英語力の向上ができるのは、ある意味で楽しみなんです。もし若いときからペラペラだったら、そういう喜びは感じないかもしれません。今は完全に一種の趣味として、すごくいい意味で楽しんでいます。BBCなどで世界のニュースを聞いていて、ある程度分かるとうれしいですよね。

現在オススメの英語上達法を教えていただけますか?

終了して2~3年がたちますが、やめてからもモチベーションは維持されていて、二つの英会話スクールにも行きました。でも、やはりトライズで得られたほどのことは得られていません。なので、私は本気で英語をマスターしたいならトライズをお勧めします。

あとは、BBC Learning Englishという英語を学ぶ英語学習のアプリと、もう一つBBC国際放送のアプリを入れています。BBC Learning Englishはボキャブラリーなど、いろいろなテーマごとに学習できるので割と熱心に聞いていました。忙しくなってからはずっと、BBC国際放送を聞いています。いろいろな英語教材のモニターもしているのですが、7+Englishはインターネットレッスンでしゃべっているのを聞くだけなので、それも活用しています。毎日新しい文章が10個ずつ届くので、解説・プラクティス・チェックを繰り返すことで簡単な構文を覚えていきます。

英語を習得したいと思っているビジネスパーソン

英語に留まらないコミュニケーションのコツや、グローバル化が進む世界の中で国際人になるための方法など、お考えをお聞かせください。

大事なのは、トーカティブであることです。私は日本語でも英語でも割とトーカティブで、日本語がおしゃべりな人は英語でもおしゃべりになれます。ですから、英語の上達だけを目指すのではなくて、日本語も上手にならなければいけないという気がします。世界に挑戦する人は特に、日本語のコミュニケーション能力、日本語力が大切です。日本語でろくなことを考えていないと、ろくな英語になりませんし、思考は言語ですから、そういう意味では徹底的に思考する母国語を大事にしつつ、外国語をやる。コミュニケーション能力、母国語をベースにした会話のツールとしての英語だと考えています。たくさんの言語を知っていても中途半端な言語能力だと、どうしても思考することが難しくなるのではないでしょうか

英語へのコンプレックスを持っている人に言いたいのは、「とにかくやれ」ということです。始めるのに遅いことはありません。

私も64歳から始めてMost Valuable Studentとして表彰してもらいました。当時、最高齢だったのです。英語ができれば海外に行ったり、日本に来る外国人と交流することだってできます。でも、英語ができないからといって、それ自体がShamefulかというと、そんなことはありません。例えば、英語の会社に入って英語ができないというのであれば切実ですが、とにかく、そのコンプレックスを払拭するためには、やるしかありません。やれば、すぐに払拭されます。

それから、完璧になることはできないと思っています。どれだけ英語が得意な人でも、必ずしも外国人同士の会話の全てが分かるわけではありません。でも大まかに分かれば良くて、分かってもらいたいときに分かってもらえるぐらいでいい。だから、英語のできない人が英語学習を進めていく際には、ネイティブのように完璧に話すということは気にしないほうがよいでしょう。Brokenで大丈夫です。

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