第二言語習得の専門家が語る
日本人の英語力が伸びない理由

トライズ語学研究所顧問 対談インタビュー

会議・放送通訳者
新崎 隆子先生

/

関西学院大学 教授
門田 修平先生

コーチング英会話「トライズ」会議・放送通訳者新崎隆子先生、関西学院大学教授門田修平先生対談

コーチング英会話「トライズ」のメソッドを陰から支えるているのが、語学研究所です。今回はその語学研究所の顧問である、会議・放送通訳者の新崎隆子先生と関西学院大学教授の門田修平先生に「日本人の英語力が伸びない理由」について対談いただきました。

対談の中で、どうしたら日本人が英語を話せるようになるのかを解説いただいているので、英語を身に付けたいと考えている方はもちろん、英語を長年勉強しているが中々話せるようにならないと伸び悩んでいる方にとても参考になるお話を伺うことができました。

なぜ日本人の英語力は伸びないのか?

思い込みは英語力の伸びに影響する

新崎先生:
なぜ英語力が伸びないのかということは、非常によく皆さんから聞かれます。一つ言うならば、自分は英語ができないという思い込みがあるのではないでしょうか。かなりメンタルな部分が大きいと思います。自分は上手じゃない、だからあまり話したくないというのが基本的にあって、それでためらってしまう。

それから、あともう一つは目的ですね。目的が非常に曖昧なんです。まずは「何のために英語を学ぶのか」ということです。まずそこがきちんとできてきたら、その次にじゃあそのためには何をしたらいいでしょうかというという話になると思うんですね。

だから、目的意識をはっきりさせること。それからもう一つは、目的に沿った専門家の知恵を借りた、きちんとしたプログラム化が必要だと思います

コーチング英会話「トライズ」会議・放送通訳者新崎隆子先生、関西学院大学教授門田修平先生対談 新崎先生が考える日本人の英語力が伸びない3つの理由

英語力を伸ばすためには、学習時間を増やすことが最も重要

門田先生:
僕は2018年に『外国語を話せるようになる仕組み』という新書版の本を書いたのですが、そこに4つの理由を挙げています。まず一つは、「学習時間が少ない・足りない。」そこにも書いてあるのですが、中学・高校で授業時間以外の勉強を毎日1時間ずつしても学習時間は授業時間と合わせて3,000時間あまり。

ネイティブの赤ちゃん、例えば英語の母語話者の赤ちゃんが小学校卒業までに言語に接する時間は3万時間を超えてしまう。日本人は毎日同じように勉強したとしても10分の1以下。まず接する時間が少ないことがはっきりしていると思います。だから時間を増やすことが一番重要です。

でも、それだけではなくて日本語と英語の言語間距離を考えると、非常に母語と外国語の距離が日本語と英語は遠いんですね。例えば、オランダ人が英語を勉強するのとは根本的に意味が違う。オランダの母語話者が英語を学習するときは、英語を聞けるようになったら、読めるようになったら、英語を書いたり話したりもすぐにできるようになります。

でも日本人の場合は、ご存じのとおり日本語と英語の言語間距離が非常に大きい。特に英語の発音は日本人にとって、例えば母音の発音にしても「い・え・あ・お・う」という5つの発音しかありませんが、英語の場合は十数個あります。それを日本語の5つの母音で代用してしまう傾向が非常に強い。どうも、そのあたりからしても言語間の違いが非常に大きくて、なかなか発音も習得できない。

また、即座に反応する能力。ある程度、知識はあるんです。中学・高校・大学で英語教育を10年間やっていれば、ほぼ一定量の知識はたまっています。入学試験の問題は、かなりのレベルです。それに合格する力は知識としてはあるのだけれど、それを使える力に変えていない。

それを変えていくにはどうしたらいいかを、2018年の本でも書いたのですが、私としては実際にインプットできるようになっても、それを「アウトプットにつなぐための練習」が必要で、それがわれわれにとっては非常に大事なポイントだろうと。

発音にこだわる人は非常に多いのですが、はっきり言って1歳を過ぎる前にほぼ母語の発音を習得してしまいます。日本人の赤ちゃんでも生後6~8カ月までには英語の発音がちゃんとできるんです。識別できるし発音もできるんです。「バババ」という喃語期というのがありますが、そのときの発音を聞いていると日本語にない発音もちゃんとしています。

だけど8~10カ月を過ぎて、ほぼ1歳になると日本語になる音は発音できても英語の音は聞き分けもできなくなっています。ある意味で日本人としてそれだけ日本語の母語話者に成長していっているということですが、それ以降、いわゆる臨界期はこれまでも議論されてきましたけれども、発音に関しては母語の影響を受けることは免れない。何歳になっても英語がかなりできる人でも、日本人の発音という特徴に皆さん合致した発音になってしまいます。

でも、それ以外。リスニング・スピーキング・ライティング・リーディング・語彙力・文法力は、どんどん勉強すれば、先ほどの時間をかければかけるほど伸びていくと。だから、その4つのポイントがあるのですが、特に発音についてはそんなに考える必要もなくて、まず英語のネイティブと同じように発音する必要性もありません。

要は、たくさん勉強しましょう。時間をかけましょう。それだけの練習を積んで、言語間距離を克服しましょう。とっさに英語が使えるための知識に変える、知識を使える能力に変えていくことが必要です。

コーチング英会話「トライズ」会議・放送通訳者新崎隆子先生、関西学院大学教授門田修平先生対談 門田先生が考える日本人の英語力が伸びない4つの理由
新崎先生:
先ほどの言語間距離ということになると、アメリカ国務省のForeign Service Institute(FSI)の調査によると、確かに日本語は最も言語間距離が遠いと位置付けられているのですが、韓国語も同様の言語間距離とされているんですよね。

ところが、今は韓国人は例えばTOEICにしても、日本人よりもずっと成績がいいわけですよね。一般によくできる人が国際的な場面でも増えてきたように私も思うのですが、これは一つには先ほど門田先生がおっしゃった練習量の違いでしょうか?

門田先生:
それも、もちろんあると思います。先ほどのデータでも、韓国語・中国語・日本語は英語との距離が同じカテゴリー、同じ遠さにあるといわれているのですが、その中でも日本語は特別で例えばアメリカ人が日本語を習得するとしようとすると特に難しいという注釈が書いてあります。そういう言語的にも難しいという理由は、やはり韓国語・中国語に比べても日本語のほうが言語的にもやや距離がありそうだと思います。

ただし、もっと大きな問題は、多分、新崎先生も前におっしゃっていたと思うのですが、いわゆる文化の違いというか。日本人同士はお互いに分かってしまえる。1から10までしゃべらなくてもいいという、これはハイコンテクストといいますけれども、英語ではそれではちょっと難しい。

日本人はそのようなコミュニケーションをしているので、日本語でもなかなかうまく人に向かってしゃべることのできない人が結構多いですね。だから、そういう文化の違いは非常に大きい。それも含めて、韓国や中国に比べても、われわれはもう少し英語との距離がありそうな気がします。

英語で話す際に意識すべきことは、「伝えたい」という姿勢

新崎先生:
日本人の英語力のレベルが低いというのは、実は本当に勝手な思い込みだと思うんですね。20年ぐらい前ですかね。国際エイズ会議が初めて横浜で開かれたことがあります。そのときに非常に面白い経験をしました。会議には各国からエリート層ではない参加者がたくさん来たんですよね。

私が通訳をした非常にユニークなセッションは、セックスワーカーのセッション。エイズが性的感染によって広がっていくことが、そのときはすごく問題視されていて、実際のセックスワーカーたちも参加して、そこでいろいろな議論が行われました。

もちろん日本の市民も参加していました。質疑応答のときにずらりと列を作って次々に質問するんですね。そこで使われている英語の中には、これが英語なのかと思うものがありました。同時通訳ブースの中、これはイタリア語に違いないと言うことになり、しばらく通訳をやめて聞いていると、なんか英語に似ているように思い始め、途中ぐらいからこれ英語だと気が付くことがありました。

受け身表現が間違っていて、AさんがBさんにしたのか、BさんがAさんにしたのか分からないようなときもありました。ただ特徴としてみんな話すのが速い。ものすごく速い。いっぱい言葉が出てくるんです。いっぱいしゃべりますので、そのうちに何となく言いたいことが分かってくるのです。

片やそこで列に並んでいる日本人の方がお話ししようとすると、 “Thank you very much for inviting me to this session” と丁寧な言葉遣いですが非常に遅い。そうすると後ろに立っている人が途中から、もうどいてください、私たちこんなにたくさん並んでいるんだからという感じで押しのけられてしまうという場面がありました。

そのときに語られた英語は日本人の場合、ものすごく文法的にきちんとしていたし発音も良かったと思うのですが、他の参加者の話すスピードに追い付けないのです。

コーチング英会話「トライズ」会議・放送通訳者新崎隆子先生、関西学院大学教授門田修平先生対談 国際的な会議の場ので日本人の英語力
門田先生:
それは、よく分かります。そのあたりは、インターナショナルでコリアンの人やチャイニーズの人の方がはるかに。しゃべってずっとキープしていく力はすごく大事で、そのときに間違えたとか、ここはこう言うべきだったとかは何遍も言い直したら済む話なので、それを最初からずっと考えてから言おうとか、文をちゃんと頭の中で作ってから言おうとか、そのような発想がものすごく強いので、そうすると後れを取ってしまう。

AI時代のコミュニケーションの必要性

ノンバーバルコミュニケーションの重要性

新崎先生:
AI化が今はものすごく進んでいて、例えば買い物であれば、各国言語で使える通訳・翻訳デバイスが出てきています。これは社会にとってはとてもいいことだと思います。でも、それで全てのコミュニケーションが事足りるかというと全くそんなことはないんです。

要するにバーバルの部分、情報の交換はAIでできると思うのです。だけれども、メラビアンの法則というのがあって、ある説だと人間のコミュニケーションの90%ぐらいはノンバーバルだといわれています。

もちろんノンバーバルで具体的な情報は交換できません。でも相手がどういう人なのか、私に対して好意を持っているのか、評価してくれているのか、つまらないと思っているのかという情報、それから相手が自分に接近しようとしているのか、あるいは遠ざかろうとしているのかということは、表情や声のトーンなど、全部ノンバーバルで行われているんですよね。日本語のコミュニケーションの中でも言葉にしないものってあると思います。いくらAIが発達してきても言葉が発されていないものを訳すことできません。

ついでにいうとGoogle本社がアメリカにあるのですが、Google本社は社内の会議をAIではやっていません。人間の通訳者をいまだに雇っているそうです。Google本社ですらコミュニケーションには人間の通訳者がまだ必要だと思っている、何よりの証拠ではないかと思います。

門田先生:
むしろ人間にとって大事なのは、90%を占めている言語以外の社会脳的なお互いの結び付き・インタラクション・相互交流が必要で、そこを今後どうするべきか。今、僕の最大の関心事はその社会脳の研究にあります。新崎先生がおっしゃったように、実はコミュニケーションの90%はバーバル以外の要素、これはもちろんノンバーバル。

ノンバーバルというカテゴリーの中に、相手との一瞬のうちの社会脳的なお互いの相互交流・インタラクションがある。それが実は非常に重要だということが、最近の研究でだんだん分かってきました。

新崎先生:
私は英語の勉強もコミュニケーションとして扱ったらいいと思うんですよ。ただ単に文法でSVOを作るだとか、そういうのは本当にごく一部。そうではなくて、そこにいる人を知る、その人に自分の気持ちを伝えるという、それがまさに英語を勉強する目的だと思います。

たとえ片言でも自分がその言葉を発することによって相手に何かの変化が起こる、そしてまた向こうが何かを言ってくる、そうやってお互いにボールを投げ合いながらコミュニケーションがつくられていく。そういう魅力をぜひ伝えてあげたい。

今はとにかく試験で100点を取らなければいけないとか、そういう英語のコミュニケーションのごく一部、先生のおっしゃった知的な脳、そこの機能だけを問うているみたいなところがあって、それだけをやっているとだんだん嫌になって、もう英語なんてやりたくないとなってしまいますが、やっぱり相手と同じ言葉が使えるのは、自分にとっても素敵で楽しいことです。

門田先生:
すみません。僕の持ってきた資料で恐縮ですが、最後のページにこんな写真があります。ウリ・ハッソンの「コミュニケーション中の脳の反応」というTED Talkの中に出てきて、脳のコミュニケーションの研究をしている人ですが、自分の息子と自分の奥さんは何もしゃべらず「あーあー」と言っているだけなんですね。それでコミュニケーションをやっている。

でも、お互いうれしそうにしているんです。ここから言語はスタートする。だから、言葉はここからスタートしているので、決して相手のメッセージを大脳皮質で処理するだけの問題ではありません。むしろここから入って、この部分をすっ飛ばしているのが今までの英語教育だし、そこを今後どうするかです。

新崎先生:
そこがすごく大事で、多分、今の英語学習者の頭の中には、英語表現などすごくたくさんのストックがあると思うんです。でも、その出口が見つからずに全部使われずにいる。

それが何か先生が今おっしゃったようなことで弾けて「うわあ、こういうことだったのか」となると、もっともっと多くの人に向かって話をするようになるのではないかな。その見えないバリアーみたいなものを、いろいろなプログラムで壊していくことができるといいですよね。

コーチング英会話「トライズ」会議・放送通訳者新崎隆子先生、関西学院大学教授門田修平先生対談 ノンバーバルコミュニケーションの重要性
門田先生:
頭の大脳皮質で勉強しすぎている。

新崎先生:
そうです。

門田先生:
僕の話は、どうしても理論的になってしまうところがあって恐縮ですが、新崎先生は実際に裏付けられたお話をされているので、そういう意味ではいいコンビかもしれませんね。

日本人の英語教育はどのように変わるべきか?

門田先生:
従来、英語はリスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの4技能といわれました。それに対して、いま文科省は、スピーキングには2種類あって、4技能5領域だと言っています。人に一方的に話すスピーキングと雑談をするような形でインタラクティブなスピーキング能力を区別して、両方のスピーキング能力を養う必要があるという主張です。

今の指導要領は、それに基づいて学校教育を進めていこうとしているのですが、インタラクティブなスピーキング能力が一番弱いと思われませんか?要は準備をしていたら済むんです。

例えば、プレゼンテーションをするとか、人前でパブリックスピーチをするとか、それは準備をしてちゃんと練習して鏡の前でよしこれでいけるぞと行くのですが、問題はそのスピーチをした後や前の雑談でうまくしゃべれない。雑談するというのは僕もいろいろなところで書いているのですが、相手の言っていることを聞く能力は当然必要

聞いてそれに対してどうレスポンスするか、どう返事しようか、そこを考えることも必要です。もちろんその後は相手に伝えるために文を産出(生成)する。その3つをほぼ同時に実行することが必要なんですね。

多くの日本人は、相手の言っていることが大体分かる、あるいは相手に対して自分の考えを言おうと思えば言える。問題はそれを聞いた後、自分が話すまでの間に0コンマ何秒という時間でやらないと駄目です。1~2秒経過してしまうとコミュニケーションはブレークダウンしますよ。

聞いている途中ですぐに自分は何をどうしゃべろうか、話そうかというメッセージを作って考えて、そしてしゃべる。聞いて、考えて、そしてしゃべる。メッセージを考えるというのは、母語でも外国語でも日本語でも英語でも皆さん機械的にはできない、自動的にはできません。

だけど、聞いて理解する部分、しゃべるという部分は、じっくりやれば聞ける、じっくり考えれば話せるというのでは、双方的(インタラクティブ)なコミュニケーションは成立しなくなってしまっています。

そこで、できるだけ聞くこと、話すことを同時進行でやるような学習が必要。しかもそのわずかな間に自分で考えて、これに対してはどういう意見を述べていくか、どういう考えを相手に提示していくのかメッセージをつくることが必要。

その3重の処理を同時進行でやるのが双方的(インタラクティブ)コミュニケーションです。これがなかなか難しいので、この能力を今後の英語能力としては一番養う必要性があると思っています。

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