英語学習には罠がある

日本には、色々なスクールや教材があります。
しかしそこには、誤った英語学習法に基づくものが沢山あるのが事実です。
今回はその中から、最近広まっている英語学習に潜んでいる3つの罠をご紹介します。

簡単に英語がマスターできると謳うスクールや教材を選んで後悔する前に、
実は英語業界では常識の「真実」を知ってください。

1つ目の罠:

TOEICのスコアが高ければ、英語が話せる。

「英語力といえばTOEIC。
ウチのスクールは、TOEICの教材を使い、TOEICで英語力を測定することで、真の英語力を養います!」

真実は…

TOEICを頑張っても「話す力」は変わらない。

TOEICのスコアが高い人は、”英語ができる人”というイメージが強いですよね。
しかし実はTOEICと「英語を話す力」の相関はそれほど高くありません。
TOEIC900点以上でも話せない人はたくさんいることが分かっています。

理由は簡単。TOEIC L&Rが測定しているのはスピーキング力でなく、リスニング力と速読力・読解力だからです。
悲しい事に、TOEICの教材やTOEIC対策をどれだけ一所懸命やったとしても、英語を話せるようにはならないのです。

>>【参考】TOEIC800点以上でも4割が英語スピーキング力に課題(日経調べ)

2つ目の罠:

英会話レッスンなんて、いらない。

「英会話レッスンは不要!科学的にはインプット9割で足りる!」

真実は…

それって学校教育と一緒。50年前の理論です。

知識をどれだけインプットしても、英語が話せるようにならないことは、10年以上の学校生活で誰もが経験していると思います。
英会話教室でなかなか英語力が伸びないのは、レッスンの質と時間が足りていないから。
英語はコミュニケーションツールなので、実際に使って練習しないことには向上できません。

第二言語習得の科学的研究としては、「インプット仮説」というインプットを重視する説が1970年~80年代にはありました。
しかし1991年以降は、言語学者ロングの「インタラクション仮説」が一般化。これは直接顔を合わせた相互交流によって第二言語習得が促進されるという説です。
さらに、「インプットのみでの言語習得は非常に時間がかかること」が、言語学者クールらの実験(Kuhl et al., 2003)によって明らかになっています。

>>【参考】日本人英語学習者のインタラクション(相互行為)を通じた自律的相互学習プロセス解明に向けて(PDF)
早稲田大学・原田 康也 神戸学院大学・森下 美和

3つ目の罠:

科学的な学習法なら、数ヶ月で英語を習得できる。

「日本の英語学習は原始的。科学的根拠に基づいた効率的な学習方法なら、数ヶ月で英語が話せるようになる!」

真実は…

科学的な学習法でも、最短で2,200時間かかる。

アメリカ国務省付属の公的機関FSI(Foreign Service Institute)の調査では、英語話者が日本語や韓国語、中国語を習得するには最低でも2,200時間必要とされており、 日本語話者が英語を習得する際も同様の時間がかかります。
これは、アメリカの外交官などのハイレベル層が、最先端の理論に基づく第二言語習得プログラムを受けた場合の調査結果です。
どれだけ科学的に学習しても、数ヶ月では到底第二言語が話せるようにはなりません。

>>【参考】Foreign Language Training(FSI・英語)

一つだけ朗報をお伝えすると、日本人は学校教育で1,200時間ほどは英語を学習しているので、社会人であれば必要なのは最短であと1,000時間です。
実際にトライズの全受講生のデータで、900~1,000時間の学習で、「海外出張で質疑応答を英語でできるレベル」に到達しています。

実際にこの罠にハマった経験のある、トライズ受講生のインタビューをご紹介します。

4つ以上の英会話スクールを転々としたが、聞き取れないし話せなかった。

- 吉田さま(コンサルタント)

これまでどのような英語学習をされたのでしょうか?

英語学習を始めたきっかけは、コンサルタントとして何かしら世界を舞台にした仕事をしたいと考えたことです。

自己学習の習慣を確実に身に付けたかったので、当初からコーチングスクールにフォーカスして選びました。
ただ、多くのコーチングスクールは2カ月のコースになっていて、コースが終了したあとに学習習慣を維持するのが難しかったですね。
結局、2~3年で4校以上のスクールを転々としました。

そんな中、トライズにご入会いただいたきっかけは何ですか?

最終的に行き着いたのが、1年という長めのプログラム期間を設定しているトライズだったんです。

さまざまなスクールに通った経験から、特にスピーキング力は2カ月という短いプログラムでは身に付かないと実感したため、その点でも1年という期間は大きな訴求ポイントでした。
実際に無料カウンセリングを受けたときも、客観的に自分の英語力を分析してもらえるなどとても印象がよく、1年間安心して続けられると確信しましたね。

実際にトライズをスタートされてみていかがでしたか?

入会時に設定した目標は「1年で自分の考えや想いを問題なく伝えられるようになり、ビジネスのディスカッションができるようになること」。
とはいえ、トライズ以前はTOEFL®などの試験対策を学習の中心に据えていたこともあり、ほとんど聞き取れないし話せないという状況でした。入会時のVERSANTは36点という結果でしたね。

そうした状態で最初に取り組んだのは、シャドーイングでは日常会話レベルの教材を使った英語の音と意味の紐づけ、スピーキングでは瞬間英作文(日本語の短文を一瞬で英訳していえるようにする短文暗唱)でした。 特に後者は、英文の構造を頭の中で組み立てる基礎回路を作るのに大変役立ちましたね。

おかげで、2回目に受けたVERSANTは47点と、1カ月で11点もアップできたんです。 スピーキングに特化した学習の重要性を実感しました。

成長を感じられる場面はありましたか?

転機になったのは、4カ月目頃から取り組んだ2冊のテキストでした。
シャドーイングのテキストは、洋画のセリフ集。
これまで聞き慣れていた学習者向けの英語音声とリアルな英会話のギャップに直面し、コンサルタントへの報告メールに「すごく大きな壁を感じます。大丈夫かなあ」と送ったのを覚えています。

ですが、だんだんと慣れてくると、ネイティブスピーカーの会話スピードや、音のつながり方・消え方がわかるようになって、後半には内容を楽しめるようにまでなりました。

スピーキングはいかがですか?

スピーキングは、ビジネスの複雑なシーン(交渉、クレーム対応など)をテーマにした大量の例文をすべて暗唱するトレーニング。
今では多くのフレーズが頭に染み付き、オンライン英会話レッスンでも、例文に使われていた表現やボキャブラリーがぽんと口をついて出るようになりました。
さらに、このテキストに取り組んでいる時期から、シャドーイングによるリスニング学習とスピーキング学習の相乗効果も感じられるようになりましたね。

例えば、洋画を見ているときにスピーキング学習で覚えた例文のフレーズを聞き取れるようになったんです。そのおかげで字幕なしでも洋画の内容を理解できるようになるなど、成長を実感していますね。

成長を実感している理由は何だと思いますか?

1年足らずですでにこれだけ学習効果を得られているのは、伴走してくれているコンサルタントのおかげだと感じています。
まず、目標と現状の課題を踏まえて、その時々でやるべき学習を明確に提示してもらえるので、とても学習を進めやすいですね。

例えば、洋画を使ったシャドーイングテキストでは、私自身は決して選ばないような映画を題材にしたものも選んでもらっているのですが、難易度はそのときの私に常にぴったりマッチしていると思います。

レベルにあった課題を提案されていたんですね。

あとは純粋な語学力を超えたコミュニケーションスキルについてのアドバイスも大変助かっています。

例えば、最近はスピーキング学習で、図やグラフを自分の言葉で説明するトレーニングをしていて、プログレスチェックではコンサルタントとロールプレイをするんです。
そのとき、私が説明するのに精いっぱいになり、早口でまくしたててしまっていると、コンサルタントが「相手の目を見て、一番重要なところは少しゆっくり目にいわないと伝わりにくいですよ」と指摘してくれたことがありました。

ほかにも、プログレスチェックのやり取りを録音して言い方のクセをチェックしてもらうなど、独学では得られない気付きが多々あります。

学習を継続できている理由はありますか?

トライズを始めて以降、学習時間が週20時間を切ったことは一度もありません。こうしたモチベーション維持の観点でも、やはりコンサルタントの存在が大きいですね。
毎日の報告メールが遅れると、コンサルタントから心配そうなメールが送られてくるので「心配をかけてはいけないな」という想いから机に向かうこともあります。

一度、仕事関係の付き合いが多い時期に学習時間がなかなか取れなかったことがあったのですが、「プログレスチェックで何もできなかったら、コンサルタントを悲しませてしまう」というプレッシャーから、プログレスチェックの夢まで見てしまったこともあります(笑)。

今後の課題や目標を教えてください。

トライズのプログラムも残り2カ月ほどとなり、VERSANTスコアは60点にまでアップしました。
これからの課題は、より高度な英語のディスカッションで、自分の価値を提供できるようになることですね。
おかげさまで英語力が大きく伸び、最近、グループレッスンを1つレベルの高いものに移行したのですが、まだついていくのに精いっぱいの状況です。

ディスカッションのテーマは、例えば「ファーストフード店を展開するクライアント企業が日本に進出したいと考えているが、コンサルタントチームとしてどのような提案をするか」といった、かなり現実のビジネスに近い内容
そうした場で、英語力の高いメンバーの意見を聞き、それに対する自分の意見をしっかり伝えられるようになることはもちろん、一歩引いて英語のディスカッションをマネジメントできるようになることも必要だと考えています。
議論の方向性や時間の使い方を提案したり、結論をまとめたりするのも、そのディスカッションで提供できる重要な価値ですよね。そのために、英語でのビジネススキルも身に付けていきたいと思っています。



まとめ


日本には母国語以外の言語を習得した経験のある方が非常に少ないので、どんな学習方法が最適なのか認知されていないのが現実です。 そのため商品の宣伝やSNSなどで誤った学習方法が、真実であるかのように広まってしまっている例(※)もあります。
ぜひあなたの目的に合った、正しい学習方法を見極めるようにしてください。

(※)SNSでは、エコーチェンバー現象(閉鎖的空間内でのコミュニケーションを繰り返すことよって、特定の信念が増幅または強化される状況の比喩)などにより、 誤った学習方法が広まりやすくなっています。
参考リンク:エコーチェンバー現象の恐ろしさ