駐在前に会社の研修プログラムでトライズを受講された日比野様ですが、今回タイへの駐在開始後に、さらなる実践力のブラッシュアップのためにプレゼン特化コースをご受講いただきました。プレゼンに必要なインプットとアウトプットの学習サイクルをどのように活用いただいたのか伺いました。

駐在後、実践力のブラッシュアップのためトライズ受講を決意

今年3月からタイでの駐在をスタートされたとのことですが、今回トライズを受講されようと思ったきっかけは、そのような環境の変化が大きかったのでしょうか。

タイへの駐在が決まったときに、会社の研修プログラムとしてトライズを2カ月受講※しました。タイに来るのと同じタイミングでプログラムが修了したので、駐在後に必要な英語力のさらなるブラッシュアップのため、会社補助の後押しも受け、トライズの英語プレゼン特化コースを受講することに決めました。

※トライズでは法人向け語学研修サービスを多くの企業様に提供しており、期間やプログラムはご要望に応じて設計しております。

初回のVERSANTスコアが50点を超えていました※が、駐在が決まる前から英語は学習されていたのでしょうか。

約3年前に、自分の人生、会社人生の目標を本気で考え直しました。一度きりの人生、世界中を見て周り、異なる文化や価値観に触れ、人の輪も広げたい、と目標を整理したことがスタートです。また、英語ができないだけで、人生やキャリアの可能性が日本に限られてしまうのはもったいないと思い、本気で英語を克服することを決めました。

※グローバルビジネスに必要な英語力がVERSANT47点（GSE43相当）とされる。20点～80点で評価され、日本人の平均は38点（2018ピアソン調べ）。

まずはTOEICの自己学習を始め、毎日2～3時間、集中学習しました。おかげで社内の公募型グローバルリーダー育成プログラムにも合格することができ、新規ビジネスプランを作る社外研修や、海外で活躍する駐在員の話を聞くセッションに参加し、英語を実践的に使う機会が徐々に増えていきました。

今回駐在のチャンスを掴み、タイに行くことが決まった段階で、もう一度、集中的に学習して追い込みをかけたいなと思い、アウトプットや実践に力を入れているトライズの受講を始めました。

最終目標の軸が固まっているので、マイルストーンの置き方や、そこに向かう道筋もしっかり作って進んでいかれたのですね。海外駐在は、まさにご自身のプランニングや努力でつかみ取った成果ですね。

タイに出てくるところまでは、自分でつかみ取れたと感じています。ただ、正直に言うと、トライズのプログラムの後半では、あまり優等生ではありませんでした。

日本にいた時は仕事をうまく回せていたので、プライベートの毎日3時間をルーティンで英語と自己啓発に充てられていましたが、いざタイ駐在が始まってみると状況が変わりました。新しい仕事を覚えることに昼夜頭がいっぱいで、英語学習に集中できる時間が少なくなり、毎日2～3時間の学習を回し続けるには、ある程度の仕事の余裕も必要だと感じました。毎日の学習報告もなかなか上げられなかったのですが、焦る中でも担当コンサルタントの方が「今は業務のキャッチアップに優先的に時間を割いて良いタイミングです」と寄り添ってくださったのはありがたかったです。

スクリプトなしでプレゼンを成功させるには、練習を繰り返すことに尽きる

英語プレゼン特化コース受講のゴールとして、「月に1度の会議で、英語でのプレゼンテーションと質疑応答をスムーズに行うこと」を設定いただきましたが、実際に駐在が始まって英語を使う場面や頻度はいかがでしょうか。

日本人の同僚に相談することもまだ多いので、言語の比率で言うと半々ですね。3カ月のゴールは、月に1回10分程度、私から主要なアップデートを説明するという機会がもらえたので、まずはそこを難なく乗り切れることを目標に設定しました。

他にも、日々の会議で各国異なるイントネーションの英語を聞く機会が一気に増えました。 英語を話す機会も当然増えましたが、当初はそもそも会議の内容を聞き取れず、わけがわからないので質問も感想も言えなかった、というのが正直なところです。それでも失敗を恐れず、わからないなら英語でわからないと伝える、聞き返して理解する、その上で何か話す、という姿勢がないと、海外駐在してもアウトプットの機会を棒に振ってしまい、英語は話せるようにならない、という現実を身をもって学びました。

3カ月間のプログラムを通じて、英語を使う際の変化や手応えは感じられますか。

プレゼンをスムーズに行うには、説明の基本的な表現や、担当業務でよく出てくる表現をリストアップし、それを何も見ずに話せるようになるまで反復練習することに尽きる、とコースを通して気付きました。当初は事前にスクリプトを作り込んでいたのですが、それは準備に時間がかかりすぎる上、ほぼ1回きりしか使えません。自分が思っている以上に、自分は正しい英語を話そうとしてしまっている、と途中で気づき、スクリプトに頼る方法は捨てなければいけないと思いました。

実際に、何の準備もなしにスライドを説明し、録音して聞いてみると、言いたいことの5割も表現できていません。その原因はスライドで言いたいことがまとまっていない、あるいは言いたいことは整理できているが英語で何と言えばいいか分からない、のどちらかです。スムーズに話せない要因を自分で分析して、英語で何と言えば良かったか調べて覚え、何も見ずに言える表現を増やす。プレゼンをスムーズに行えるようになるためには、このサイクルの繰り返しに尽きると学びました。

レッスンで実践を繰り返すサイクルが非常に有用だった

レッスンでのプレゼンのロールプレイで、実際のプレゼンや事前準備に役立つ点や気づきはありましたか。

実際にレッスンでロールプレイを行ってみると、プレゼンで必ず使う導入の表現や、各シーンの定型表現に気づけたり、自分がどこで詰まるのかを発見したりすることができます。その上で、汎用性の高いフレーズをインプットし、レッスンでの実践の繰り返しで定着を図るサイクルが非常に有用だと感じました。練習量に比例してインプットの量も増え、実際のプレゼンにそのまま使えるフレーズの引き出しが増えたという手応えもあります。

また、プレゼン前の準備に関しても、英語で準備できるのが一番ですが、日本語でシンプルに、言いたいことを明確にすることを意識するようになりました。

コンサルタントのサポートやご提案はご期待に添えていましたでしょうか。

結果にコミットしようと思ったら、「いやいや、仕事が大変なのはみんな同じです。頑張らないと駄目ですよ」と言うのも一つかもしれませんが、担当コンサルタントの方は目の前の仕事を優先でと私の状況に寄り添ってくださったので、そこは期待どおりというか、感謝したいところです。

努力すれば、誰でも必ずできるようになる

日比野様と同じような環境でお悩みの方や、この先1～2年後に海外勤務を達成したいという方々に向けて、ご自身のご経験から何かアドバイスを頂けますか。

やはりラクして英語は身に付きませんね。1日10〜30分の勉強では、なかなか進歩しないのが現実です。ラクではない勉強をやり続けるためには、本当に英語を身に付けたい、と強く思う内発的なモチベーションが不可欠だと思います。

私の英語学習のモチベーションは、人生は一度きりだから、死ぬまでに世界中を見て周りたい、異なる文化や価値観を持つ人たちと繋がりたい、できることなら世界中の人々の小さな幸せに貢献したい、というシンプルなものです。それを本気で実現しようと思ったら、個人の旅行だけでは限界があるので、会社人生やキャリアも活用しながら海外駐在をして、世界各国で仕事をしたい、自社の飲料製品を通して、世界中の人々にひと口の幸せを届けたい、と思っています。漠然とした目標に聞こえるかもしれませんが、私の中ではこのシンプルな思いが腹落ちしていて、英語を勉強し続ける最大のモチベーションになっています。

これは私の英語の恩師の言葉ですが、”YOLO (You Only Live Once)”という言葉があります。その方は「人生お一人様一回限り」と表現されていますが、私もこの考えに強く共感しています。本当はやりたいのに、自分には無理だと諦めるのは寂しいですし、もったいないです。自分の可能性を信じて、困難に飛び込む勇気がすごく大切で、英語に限らず何事も、できるかできないかではなく、やるかやらないかだと思います。自分は"やる側"の人間か、"やらない側"の人間か、自分自身に問いかけて、人生の自己実現へ向けた一歩を踏み出してほしいと思います。

人生やキャリアなど大きく長期的なビジョンを描いた上で、その実現のために英語が必要だからやる、というモチベーションの紐付けができていることは、継続力や結果に大きく影響しますよね。日比野様がビジョンを持って英語に向き合い、海外駐在を実現されたこと、記事を読んでくださった多くの方が勇気づけられるのではと思います。これからのますますのご活躍を応援しております。