英語の母音は20種類以上!発音のコツと覚え方を徹底解説
私たちが普段使っている日本語の母音は「あ・い・う・え・お」のわずか5つです。しかし、英語にはなんと20種類以上もの母音が存在します。
この違いを理解し、一つひとつの音を正しく発音できるようになることこそが、ネイティブに通じるスピーキングと、正確なリスニング力を手に入れるための最大の鍵と言っても過言ではありません。
この記事では、複雑で覚えにくい英語の母音を、発音記号とともに分かりやすく整理します。
catとcut、seatとsitのような紛らわしい音の違いから、具体的な口の形や舌の使い方のコツまで、あなたが英語の母音をマスターするための全てを詰め込みました。
目次
なぜ英語の母音は日本人にとって難しいのか
以下3つの理由から、英語の母音は日本人にとって難しいと言われています。
- 母音の「数」が圧倒的に違うから
- 「喉」や「舌」の使い方が全く異なるから
- 「長母音」と「短母音」の区別が重要だから
それぞれ詳しく解説します。
母音の「数」が圧倒的に違うから
日本人にとって英語の母音が難しい最大の理由は、その「数」の圧倒的な違いにあります。
前述の通り、日本語の母音は「あ・い・う・え・お」の5種類しかありません。そのため、私たちは無意識のうちに、耳から入ってくる全ての母音をこの5つのどれかに当てはめて解釈しようとします。
しかし、英語には20種類以上の母音が存在します。例えば、日本語の「ア」に聞こえる音だけでも、英語には [æ] (cat), [ʌ] (cut), [ɑ] (hot) など、複数の異なる音があるのです。
これらの音は、ネイティブスピーカーにとっては全く別の音として認識されています。
この「音の引き出し」の数の違いこそが、私たちが英語の母音を聞き分けること、そして正しく発音することに苦労する根本的な原因なのです。
「喉」や「舌」の使い方が全く異なるから
次に挙げられるのが、音を作り出す「調音器官」の使い方の違いです。日本語の母音は、比較的口の前のほうだけで、あまり筋肉を緊張させずに発音することができます。
それに対して、英語の母音はよりダイナミックな動きを要求します。
例えば、喉の奥を響かせるようにして出す音([ɑ]など)、舌の付け根をグッと持ち上げる音([iː]など)があります。また、唇を丸めたり、横に強く引いたりと、口周りの筋肉を積極的に使う必要もあります。
このように、日本語を話す際には使わないような舌や喉の筋肉をコントロールする必要があるため、日本人にとっては意識的なトレーニングなしに英語の母音を正しく発音することは非常に難しいのです。
「長母音」と「短母音」の区別が重要だから
英語の母音には、音の長さによって区別される「長母音」と「短母音」のペアがいくつか存在します。
例えば、seat [siːt](席) と sit [sɪt](座る) はその代表例です。日本人はこれを単純に「長く伸ばす音」と「短く切る音」として捉えがちですが、実はそれだけではありません。
英語の長母音は、口や舌の筋肉をしっかり緊張させて発音される「Tense Vowel(緊張母音)」であることが多く、一方で短母音は、筋肉をリラックスさせて発音される「Lax Vowel(弛緩母音)」であることが多いのです。
seat の [iː] は口を強く横に引いて緊張させますが、sit の [ɪ] は口をリラックスさせて「イ」と「エ」の中間のような曖昧な音を出します。この「音の長さ+筋肉の緊張度」という二つの要素を理解しないと、ネイティブには全く違う単語に聞こえてしまうため、正確な区別が非常に重要なのです。
【発音記号付き】英語の母音 全種類一覧
英語の母音を、以下4つに分けて紹介します。
- 短母音7種類の発音のコツ
- 長母音5種類の発音のコツ
- 二重母音8種類の発音のコツ
- Rの音が入る母音5種類の発音のコツ
それぞれ詳しく解説します。
短母音7種類の発音のコツ
短母音は、比較的短く、リラックスして発音されることが多い母音です。日本語の母音と似ているようで全く違う音なので、注意深く練習しましょう。
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[ɪ] (sit, ship):口を軽く開け、リラックスした状態で「イ」と「エ」の中間の音を短く出します。日本語の「イ」のように口を横に引かないのがコツです。
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[e] (bed, head):日本語の「エ」に近いですが、やや顎を下げて口を広めに開けます。
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[æ] (cat, apple):「ア」と「エ」が混ざったような音。口を横に大きく開き、舌を低い位置に保ちながら「ア”ー」と少し潰れたような音を出します。
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[ʌ] (cut, bus):口を自然に半開きにし、リラックスした状態で喉の奥から短く「アッ」と出す音です。驚いた時の「あっ」に近いイメージ。
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[ɑ] (hot, stop):日本語の「ア」よりも口を縦に大きく開け、喉の奥から「アー」と響かせるように発音します。
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[ʊ] (put, look):唇を軽く丸め、リラックスして短く「ウ」と「オ」の中間の音を出します。
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[ə] (ago, sofa):「シュワ(Schwa)」と呼ばれる、最も弱く曖昧な母音。口に力を入れず、ただ息を吐くように「ァ」と短く発音します。
関連記事:英語の「シュワ」サウンドとは?“曖昧母音”を徹底解説します
長母音5種類の発音のコツ
長母音は、音を長く伸ばすだけでなく、口や舌の筋肉をしっかり使って緊張させて発音するのが特徴です。
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[iː] (see, eat):口を強く横に引き、スマイルするような形で「イー」と長くはっきりと発音します。
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[ɑː] (car, father):短母音の[ɑ]よりもさらに口を大きく開け、喉の奥から深く「アー」と伸ばします。
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[ɔː] (saw, law):唇を丸め、顎をしっかり下げて「オー」と長く発音します。あくびをする時の口の形に近いです。
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[uː] (blue, food):唇をすぼめて前に突き出し、「ウー」と長くはっきりと発音します。
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[ɜː] (bird, learn):口を半開きにし、舌をどこにもつけずに中央に保ったまま、喉の奥から「アー」とこもったような音を出します。
二重母音8種類の発音のコツ
二重母音は、2つの母音が一つの音として滑らかに繋がった音です。最初の音をはっきりと、長めに発音するのがコツです。
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[eɪ] (say, make):「エ」から「イ」へ滑らかに変化させます。「エイ」とカタカナで読むのではなく、「エーィ」のように最初の音を意識します。
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[aɪ] (my, buy):「ア」から「イ」へ変化させます。口を大きく開けた「ア」から始めます。
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[ɔɪ] (boy, toy):「オ」から「イ」へ変化させます。唇を丸めた「オ」から始めましょう。
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[oʊ] (go, boat):「オ」から「ウ」へ変化させます。アメリカ英語で特徴的な音です。
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[aʊ] (now, house):「ア」から「ウ」へ変化させます。口を大きく開けた「ア」から唇をすぼめる動きです。
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[ɪə] (here, ear):「イ」から曖昧な「ア(ə)」へ変化させます。
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[eə] (hair, air):「エ」から曖昧な「ア(ə)」へ変化させます。
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[ʊə] (tour, pure):「ウ」から曖昧な「ア(ə)」へ変化させます。
Rの音が入る母音5種類の発音のコツ
Rの音が母音の後ろに来ると、母音の音色が変化します。舌先を口の中のどこにもつけずに、舌の付け根を奥に引くようにして「こもった音」を出すのが共通のコツです。
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[ɑr] (car, start):[ɑː]の音から、舌を奥に引いてRの音につなげます。「アー(r)」
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[ɔr] (for, door):[ɔː]の音から、舌を奥に引いてRの音につなげます。「オー(r)」
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[ɪr] (near, beer):[ɪə]のRバージョン。舌を奥に引く意識が重要です。
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[ɛr] (fair, care):[eə]のRバージョン。こちらもRの響きを意識します。
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[ɝ] (bird, turn, her):長母音の[ɜː]と同じ音で、Rの音色を強く含みます。er, ir, ur など、多くのスペルがこの音になります。
関連記事:英語の発音記号まとめ!読み方を知って発音を良くしよう
まとめ
本記事では、日本語話者がつまずきやすい英語の母音について、その種類から具体的な発音のコツまでを網羅的に解説しました。
日本語の5つの母音に対し、英語には20種類以上の多彩な母音が存在すること、そしてそれらは口や舌、喉の筋肉をダイナミックに使って発音されることをご理解いただけたかと思います。
英語の母音は種類が多く複雑ですが、一つひとつの音の違いを理論で理解し、正しい口の形・舌の使い方を意識して練習すれば、必ず上達します。大切なのは、いきなり全てを完璧にしようとせず、まずは cat [æ] と cut [ʌ] のような、意味を大きく変えてしまう重要な音の違いからマスターしていくことです。
今回ご紹介した発音のコツを参考に、ぜひ今日から鏡の前で口の形を確認したり、自分の声を録音したりして、母音のトレーニングを始めてみてください。正しい母音が身につけば、あなたの英語は驚くほど「通じる」ようになり、リスニングの世界もよりクリアに聞こえてくるはずです。
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関連記事:TORAbit(トラビット)とは?アプリの特徴や使い方、使用してみた感想や他アプリとの比較を紹介
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トライズでの1年は、
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プロキャディ杉澤伸章さん
インタビュー
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目標:海外選手に英語でインタビューする。達 成
英語に関しては、1年前の僕と今の僕を比較すると、めちゃくちゃ成長しました。僕にとって情報源がものすごく増えたんです。 ゴルフ専門チャンネルで解説をしているのですが、そのときに現地の音声や解説者の声など英語でしゃべってくる音声が全て聞こえてきます。
それはテレビでは放送されていないのですが、映像だけでは入ってこない情報が耳から入ってくるので、それを聞きながらしゃべっています。 現地のリポーターや解説者は一番リアルな情報なので、それが耳に入ってくることによって、例えば解説でも「今、現地ではこういうことを言っていますね」ということが、スッと言えるようになりました。