英語の表現力を高める不定詞と動名詞 ニュアンスや使い方の違いを知れば英会話の幅がより広がる
青山学院大学文学部英米文学科卒業。米国メリーランド大学グローバルキャンパス在学中。青山学院大学在学中は、ロシアのモスクワ大学に短期留学経験もあり。
大手塾にて10年以上英語講師を務め、大学受験指導を担当。好きな海外ドラマは、SUITS。
中学と高校の英語で必ず学ぶ不定詞と動名詞。似ているけれど、実は微妙に違い、学生時代に苦戦した人も多いのではないでしょうか。長らく大学受験英語を教えてきた筆者の経験上、英語を苦手とする高校生のほとんどが不定詞と動名詞の違いを曖昧にしています。そのため、社会人となり英語の勉強をし直そうとしたときに、こうした細かい文法でつまづき、英会話にも自信を持てなくなってしまいます。そこで今回は、スピーキングにもライティングにも生かせる不定詞と動名詞について解説します。
目次
名詞の働きをする不定詞と動名詞
不定詞も動名詞も、文中で「~すること」の意味を持ち名詞の働きをすることができます。不定詞にはほかに形容詞的用法と副詞的用法がありますが、今回は不定詞と動名詞の比較として名詞的用法に焦点を当てます。
①主語になる
不定詞も動名詞も主語として文頭に置くことができます。
To watch a football match at the stadium is a lot of fun. (スタジアムでのサッカー観戦は非常に楽しい)
Watching a football match at the stadium is a lot of fun. (同上)
②補語になる
補語としても用いることができます。
My hobby is to play tennis. (趣味はテニスをすることです)
My hobby is playing tennis. (同上)
③動詞の目的語になる
目的語としても使えます。
I like to watch movies. (映画を見るのが好きです)
I like watching movies. (同上)
※これら3つの使い方について、不定詞・動名詞ともに大きな意味の違いはないと捉えていただいてかまいません。厳密には微妙な違いがあると言われますが、ネイティブでも個々にこのあたりの感覚には差があります。伝えたいことはどちらを使っても伝わります。
前置詞の目的語にも使える動名詞
不定詞にはないものの動名詞に可能な働きとして、前置詞の目的語というものがあります。前置詞の後ろは名詞か名詞形のものと決まっています。「名詞形のもの」に相当するのが動名詞ですが、実は不定詞は置くことができません。よって、下記例文の動名詞を不定詞に置き換えるのはNGです。「前置詞+動名詞」は英会話の中でもライティングにおいても非常によく使われます。
I’m interested in communicating with foreigners. (外国人との交流に興味があります)
He’s excited about playing soccer. (彼はサッカーに張り切っています)
Nancy got out of the room without saying anything. (ナンシーは何も言わずに部屋を出ていきました)
Thank you for inviting me to your party. (パーティーに招待してくれてありがとうございます)
“Thank you for ~ing.”の形は非常によく使うのではないでしょうか。ビジネスの場面でプレゼンの締めくくりの言葉として、“Thank you for listening.”なんて言ったりしますよね。この言葉だけをそのまま覚えていた人は、forが前置詞で後ろに動名詞を置いているということを学べば、“Thank you for ~ing.”の使い方の幅が広がります。
形容詞的に使われる動名詞
動名詞の働きは名詞だと先述しましたが、実は、名詞の前に置いて形容詞的な使われ方もします。例えば、下記のような場合です。
drinking water(飲料水)
sleeping bag(寝袋)
running shoes(ランニングシューズ)
これらの動名詞は、「用途」を表しています。飲むための水がdrinking waterであり、眠るための袋がsleeping bag、走るための靴がrunning shoesというわけです。分詞と似ているので間違いやすいですが、分詞の場合は「~している」と訳します。「飲んでいる水」「眠っている袋」「走っている靴」としてしまうとおかしいことが分かりますね。よって、これは分詞ではなく動名詞として使われているのです。
不定詞を好む動詞、目的語を好む動詞
最初に、不定詞も動名詞も動詞の目的語として使えることを説明しました。しかし動詞によっては、両方可能、どちらか一方だけが可能という風に用法が分かれています。例えば動名詞しか目的語に置けない動詞なのに不定詞を使ってしまうと、ネイティブの人にとっては違和感を覚える発言となるかも知れません。場合によっては、全く違う意味に捉えられる可能性もあります。そこで、よく使う動詞で不定詞と動名詞の目的語に注意したいものを紹介します。初心者の方でも無理なく覚えやすいよう、使う頻度が高そうなものをピックアップしました。
不定詞・動名詞両方可 | 不定詞のみ | 動名詞のみ |
start, begin, like, love, dislike, continue | want, hope, wish, expect, decide, promise, agree, refuse, manage | enjoy, finish, stop, avoid, mind, postpone, practice, quit, give up |
※不定詞・動名詞両方可能な動詞は、意味が変わらないもの。
不定詞と動名詞の両方を置けるけど意味が全く異なる動詞
上記に加え、+αの知識として覚えておくとTOEICや英検の対策にも繋がるのが、「不定詞も動名詞もおけるものの、それぞれ意味が全くことなる動詞」です。不定詞を置くか、動名詞を置くかで訳し方が違います。下記に紹介する5つは、英会話の中で相手に間違って伝わることのないよう正確な使い分けが必要な動詞です。基本的に、不定詞の場合は「これからしなければいけないこと(=未来的)」、動名詞の場合は「過去にしたこと(過去的)」のニュアンスを含みます。
remember / regret / forget / try / stop
①remember
Judy always remembers to lock the door. (ジュディはいつも忘れずにドアを施錠します)
→remember to~は、しなければいけないことがあって、「それをすることを覚えている=忘れない」という意味になります。
I remember seeing the Alps for the first time. The sight was impressive. (私は初めてアルプス山脈を見たのを覚えています。その景色はとても印象深かったです。)
→remember ~ingは、過去に実際に経験したことを記憶として覚えているという意味です。
②regret
I regret to tell you that you failed the test. (残念ながら、あなたは試験に落ちました)
→regret to~は、「残念ながら~する」という意味です。上記の例文では、これから話さなければいけないという動作(未来的)についてregretというニュアンスのため、不定詞が使われます。
③forget
Sam often forgets to lock the door. (サムはよくドアの施錠を忘れます)
→forget to~は「~し忘れる」の意味です。ドアの施錠というしなければいけない動作をやり忘れるという未来的ニュアンスです。
I’ll never forget seeing the Alps for the first time. (私は、初めてアルプス山脈を見たことを忘れないでしょう)
→実際に過去にアルプス山脈を見たという事実を記憶として忘れないということです。
④try
I’m trying to learn English. (英語を学ぼうと努めています)
→不定詞がくる場合は、make an effortの意味と言えば伝わりやすいと思います。実際にやっているかどうかは別として、英語を学ぼうという努力はしているという意味です。
The room was hot. I tried opening the window, but that didn’t help. So I tried turning on the fan. (部屋が暑かったので、窓を開けてみましたが意味がありませんでした。だから、扇風機をつけました)
→動名詞が置かれる場合は、実際にやってみたというニュアンスが含まれます。上記の例文では、実際に窓を開け、実際に扇風機の電源を入れたということになります。
⑤stop
The students stopped talking when the professor entered the room. (教授が部屋に入ってくると生徒たちは話すのをやめました)
→stop ~ingは「~することをやめる」という意味になります。
When Ann saw her professor in the hallway, she stopped to talk to him. (アンは廊下で教授を見かけ、彼に話しかけるために立ち止まりました)
→実はこの場合の不定詞は、「~するために」という副詞的用法として使われているため、目的語(名詞的用法)ではありません。「~することをやめる」の意味では、stopの後ろには動名詞しか置くことができません。
※上記例文はUNDERSTANDING AND USING English Grammarより引用。
まとめ
英会話にもTOEICや英検の学習にも役立つ不定詞と動名詞の用法について紹介しました。英会話に自信を持つためにも、或いはTOEIC初級→中級にレベルアップするためにも、細かな英文法学習は欠かせません。自分がスピーキングするためでもあり、相手の話を正しく理解するためでもありますから、不定詞と動名詞の違いをしっかりと学習しておきましょう。
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プロキャディ杉澤伸章さん
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目標:海外選手に英語でインタビューする。達 成
英語に関しては、1年前の僕と今の僕を比較すると、めちゃくちゃ成長しました。僕にとって情報源がものすごく増えたんです。 ゴルフ専門チャンネルで解説をしているのですが、そのときに現地の音声や解説者の声など英語でしゃべってくる音声が全て聞こえてきます。
それはテレビでは放送されていないのですが、映像だけでは入ってこない情報が耳から入ってくるので、それを聞きながらしゃべっています。 現地のリポーターや解説者は一番リアルな情報なので、それが耳に入ってくることによって、例えば解説でも「今、現地ではこういうことを言っていますね」ということが、スッと言えるようになりました。