三木雄信に聞く!あなたのナゼ?に答えます!

Q.021


30代 外資系IT企業勤務

米国本社で働くには、どのくらいの英語力が必要ですか?

米国西海岸に本社がある外資系IT企業に勤務しています。英語を使って仕事はしていますが、周りの人がネイティブスピーカーと議論しているのを見ると気後れすることも。本社のポジションが公募される際に応募したいのですが、どのくらいの英語力が必要でしょうか。

A.

結論:CEFR B2レベルが目安です。

外資系企業の本社で働くにはCEFR B2レベルが必要です。現在実務で英語を使っているなら、3〜6カ月の適切な学習でB2レベルに到達可能です。

実例:本社移籍に成功した方のスコア
多くの外資系企業では、社内公募の選考は募集ポジションの上司となる人との数回の面接で決まることが多いようです。TORAIZを受講された方で実際に米国本社に移った方は、VERSANT 59点で面接を突破されました。
これは世界的な言語能力指標「CEFR」のB2レベルに相当し、グローバル企業で仕事をするために必要とされる英語力です。つまり、外資系企業の本社で働く基準は、CEFR B2レベルがボーダーラインと考えてよいでしょう。

CEFR B2レベルとはどのくらいの英語力か
日本経済新聞社による「VERSANT 1万人スコア分析 総合レポート」(2018〜20年、受験者1万505人)から見てみましょう。

対象者のレベル:
・VERSANT平均スコア:42.2点(英語に自信のある層)
・TOEIC平均スコア:777点(申告者4,238人)

CEFR B2レベルの定義:
「ネイティブとも議論できる。欧米企業がアジアなどの非英語ネイティブ圏で人材採用するために求める最低限の英語力。それ以外は予備選抜で落とす対象。日本人が国内学習で到達するのは難しいが、ビジネスで英語を使いリーダーシップを発揮するために必要なレベル」

さらに、具体的な英語力としては、次のように記述されています:
・ほとんどの話題について正確に意思疎通できる
・自らの評価や感情を表現したり、関係する事例を説明したりできる
・会話においてほとんどちゅうちょがなく、アクセントや抑揚を用いて自らの意図を明瞭に伝えられ、会議のような場では議論を始めたり、リードしたりできる
・参加した人たちに発言の機会を与えるなど気を配り、議論を広げていける
・なじみのない話題では必ずしも流ちょうに話せないとしても、相手が理解できないことはなく自ら訂正して話せる
・さらに同じ言葉の繰り返しではなく言い換えたりして自らの意図や意見を表現できる

現在CEFR B1レベルなら3〜6カ月で到達可能
すでに実務で英語を使っているなら、現在CEFR B1レベルにあると思われます。

B1レベルの人が抱える典型的な課題:
・表現の幅が足りない
・瞬発的な対応ができない
・発音の課題
これらの課題を明確にし、適切な学習を必要な時間行えば、多くの場合3〜6カ月でB1からB2にレベルアップできます。

B成功事例:6カ月でB2レベルを達成
実際に米国本社に移った方も、学習開始時はB1レベルをわずかに下回るスコアからスタートしましたが、6カ月でB2レベルを超えました。

成功の鍵:
1.課題を明確にする
2.適切な学習内容を計画する
3.適切な学習内容を計画する
4.計画を実行する

今すぐできる第一歩
まずVERSANTスピーキングテストを受験してみましょう。 現在のレベルを把握することが、効果的な学習計画の第一歩です。

ゴール:CEFR B2
このスコアを目指せば、本社への道は開けます。すでに実務で英語を使っている強みを活かし、適切な学習で確実にレベルアップできるはずです。応援しています。

Q.022


30代 ネイリスト

英語が苦手です。何から始めればよいでしょうか?

ネイリストとして海外でお店を開きたいのですが、中学時代から英語が得意ではありません。英会話教室やオンライン英会話を続けていますが、最初にすべき学習とは何でしょうか。

A.

結論:まず中学英語を3カ月で復習。いきなり英会話は逆効果です。

中学英語の文法と単語・熟語を200〜250時間(約3カ月)で復習することが最優先です。 その前提なしに英会話レッスンを始めても、スピーキングができるようにはなりません。

英会話の前提:英検3級、TOEIC 500点弱
英語を話すための前提として、中学英語のしっかりとした習得が必要です。目安は英検3級、TOEIC L&Rで500点弱程度です。
このレベルに達していない場合、ネイティブスピーカーとの会話レッスンは時期尚早です。

なぜ中学英語なしでは話せないのか
シャドーイングをきちんとやれば、ある程度聞けるようになり、意味も分かるようになります。しかし、中学英語が不十分な状態で英会話レッスンを始めても、構文ができないため、どうしても話せるようにはなりません。

一定の年齢を超えてからの第二言語習得には、文法を押さえることが極めて重要です。 文法の土台がない状態で行うスピーキングレッスンが無駄になることは、数値的にも証明されています。英語に自信がない方は、英会話教室やオンライン英会話を始める前に、中学英語の学び直しから始めましょう。

最初にすべきこと:ゴールを決める
一番初めにすべきことは、3カ月程度先の英検3級またはTOEIC L&R試験に申し込むことです。 これで学習のゴールが明確になります。
ゴールなしでは、やる気が薄れて三日坊主になり、学習を継続しにくくなります。三日坊主になる前に、学習のゴールを決めてしまいましょう。

なぜ3カ月か:200〜250時間で復習完了
中学英語をほとんど忘れている人でも、毎日2〜3時間学習する前提で、3カ月ですべて復習できます。 学習時間は大まかに200〜250時間程度です。
参考までに、中学校の3年間で受ける英語の授業は約350時間なので、それより若干短いくらいです。

中学英語は「日本的学習方法」が正道
復習すべき内容は2つ:
1.文法
2.単語と熟語
リスニングのためのシャドーイングやネイティブに近い発音は、いったん横に置いてください。
「よく批判される日本的な英語学習方法で学ぶのか」と思うかもしれませんが、中学英語の段階では日本的な英語学習方法こそが正道です。

具体的な学習方法
①文法:1冊のテキストを仕上げる
現在は中学3年分の英語を1冊で復習するタイプのテキストが複数出ています。
例:『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』(学研教育出版)
・1単元ごとに見開きで完結
・左ページ:イラスト豊富な解説
・右ページ:問題
・実際の学習ページ:約300ページ
・平日だけなら1日5ページで完了
・無料解説動画114本も配信(通勤時間や入浴時間に視聴可能)

②単語と熟語:毎日コツコツ
教材の選択肢:
・中高時代に使っていた書籍
・スマートフォン用アプリ
・社会人ならTOEIC対策用の教材やアプリ

無理に高スコア用の教材を使っても意味がありません。まずはTOEIC 500点をターゲットとした書籍やアプリを選びましょう。

学習計画:
・平日60日として毎日覚える数を決める
・週末に復習して着実に進める

③アウトプット:覚えた知識を使う
書籍やアプリである程度覚えたら、アウトプットする機会を作りましょう:
・覚えた構文と単語・熟語を組み合わせて文章を作る
・自分で口に出してみる
・英文日記に書き起こす
・自分のフレーズ集を作って持ち歩く

成功への道筋
中学校レベルの文法と単語・熟語を復習してから英会話に取り組むことが重要です。 この順序を守ることで、英会話レッスンの効果が最大化されます。

3カ月後のあなた:
・中学英語の文法が定着
・基礎単語・熟語を習得
・英検3級またはTOEIC 500点レベル
・英会話レッスンを始める準備が完了

夢に向かって、まずはこの3カ月を踏み出しましょう。応援しています。

Q.023


30代 外資系IT企業勤務

英語での会議ファシリテーションが不安です

私の会社では英語での会議があり、現在は上司がファシリテーションをしています。将来的には私がファシリテーションするようにと言われていますが、英語力に課題があり、とても負担に感じています。英語でファシリテーションをするためのコツがあれば教えてください。

A.

結論:「見える化」が最強のコツです。英語力の不安を補えます

英語でのファシリテーションは「見える化」で乗り切れます。 ホワイトボードや画面共有で議論を図解することで、英語力の不安を補いながら効果的なファシリテーションが可能になります。

ファシリテーションとは何か
ファシリテーションの本来の意味は「活動を容易にすること、楽にすること、人を手助けすること」です。
ビジネスでは、会議参加者一人ひとりの知識や知恵を可能な限り引き出し、会議のアウトプットを最大化する活動を指します。単なる司会ではなく、参加者へのグループコーチングと言えます。
確かに責任は重く、失敗するとチーム内での評価にも関わります。だからこそ、適切な技術を身につけることが重要です。

孫正義式ファシリテーション:徹底した「見える化」
現在、ソフトバンクグループの中枢幹部のミーティングは英語で行われています。孫正義会長のファシリテーション能力は、同社の快進撃を支える要因の一つです。
最も大事なポイントは、孫会長自身による徹底した「見える化」です。

具体的な実践方法
①必ずホワイトボードを使う
孫会長の会議は、必ずホワイトボードとプロジェクターを使います。海外のホテルでホワイトボードがない場合は、フリップチャート(巨大なメモパッドが三脚に乗ったもの)を使用します。

②ファシリテーターが立つ
会議が始まると、孫会長はテーブルに座らず、ホワイトボードの横にペンを持って立ちます。

これには2つの効果があります:
・ファシリテーターが自分であることを明確に示す
・身ぶり手ぶりをしながらファシリテーションすることで、会議のテンションを高め、参加者のやる気を引き出す
議論が白熱すると、参加者もホワイトボードの前に集まって図を描きながら議論します。

③テーマと前提情報を共有する
・初回の会議:孫会長が問題意識を口で説明しながら図解
・継続テーマ:過去の議論をまとめたプレゼンテーションを投映
これにより、ミーティングのテーマと議論の前提を参加者全員が確認します。必要に応じて会議のルール(例:アイデアをメモする際は隣の人と相談せず一人で行う)も明確化します。

なぜ図解が英語会議で重要なのか
参加者が発言すると、それを聞き取って孫会長が自分自身で図解していきます。図解は、英語でミーティングする際に極めて重要です。 第二言語習得理論でいう「コミュニケーション・ストラテジー」として機能します。

図解の効果:
1.聞き間違いを防ぐ 発言者に自分の理解を確認してもらえる
2.数字の誤解を防ぐ 投資のストラクチャーなど複雑な数字の話では特に重要。英語では数字を間違えやすく、円とドルなどの単位が違う場合もあるため、相互確認が必須
3.参加者全員の認識を統一 全員が同じ認識を共有できる

議論を資産化する
ホワイトボードに書きためたものは、基本的にPowerPointのスライドとして残されます。翌朝の会議では、前日までの議論がプレゼンテーションとして共有されます。
この作業の結果が、対外的な交渉の資料となり、記者会見でのプレゼンテーション素材となっています。議論が確実に成果物につながる仕組みです。

効率化の工夫
ミーティングの前提となるテーマや情報は、会議の最初で毎回説明するのではなく、事前にメールなどで共有するのがおすすめです。ミーティング時間を短縮でき、議論に集中できます。

オンライン会議での実践
Zoomなどのオンライン会議では、画面共有やチャット画面で確認をしていくことが重要です。手書き入力ペンやタブレットをパソコンに接続すれば、ホワイトボードを使う感覚で議論できます。

必要なもの:
・一定の英語力
・「見える化」の技術
この2つがあれば、ファシリテーションは容易にできるようになります。IT企業に勤務されているなら、さまざまなデバイスやアプリケーションを使って工夫できるはずです。

まとめ:英語力の不安は「見える化」で補える
英語でのファシリテーションは、完璧な英語力がなくても「見える化」によって効果的に行えます。実践ステップは以下のとおりです。

1.事前にテーマと前提情報を共有
2.会議ではホワイトボード(またはデジタルツール)を活用
3.参加者の発言を図解して相互確認
4.議論をスライドとして資産化

自信を持って取り組んでください。

Q.024


20代 外資系金融機関勤務

仕事で英語は使えるのですが、発音が気になります

外資系金融機関で英語を使って仕事をしています。短期留学もしたので業務には問題ありませんが、帰国子女の同僚と比べると自分の発音が「カタカナ英語」ではないかと気になってきました。発音をネイティブに近づけたい場合、よい学習方法はないでしょうか。

A.

結論:3つのポイントで「かっこいい英語」を話せるようになります

英語で仕事をすることに「問題ない」と言えるレベルは、相当な努力が必要です。今までの努力の賜物ですね。

完全にネイティブスピーカーの発音になるのは難しいですが、3つのポイント(リンキング・リズム抑揚・音声変化)をマスターすれば「完全なネイティブスピーカーではないけれど、かっこいい英語を話す人」になれます。

発音矯正に取り組むべきタイミング
まずは英語を使って仕事ができるようになることを目指す場合には、英語の発音を後回しにします。大人になってから英語の発音を直すことは容易ではないため、発音まで矯正していては業務をこなせるようになるまで1年ではとても足りず、挫折リスクが高いためです。

現在CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)B1程度の実力があり、B2を目指す段階であれば、発音矯正に取り組む準備ができています。

目指すべきゴール:「説得力がある英語」
完全なネイティブ発音ではなく、「日本語と英語の違いや発音の理論を知った上で、日本人に合った発音トレーニングをして、カタカナ英語から脱却する」ことを目指しましょう。この考え方であれば、短期間で効率よく発音を矯正し、格段にスムーズなコミュニケーションを実現できる上、リスニング力も向上します。その結果、「説得力がある英語」「パワーのある英語」が話せるようになります。

発音トレーニングの3つのポイント
ポイント①:リンキング(音のつながり)
「リエゾン」とも呼ばれる現象です。日本語はほぼすべての音が子音+母音で、一音一音が区切れていますが、英語は音をつなげて話す言語です。言語の特性の違いをしっかり認識し、日本語の話し方から脱却する必要があります。

効果的な学習方法:
・シャドーイングや音読(モデル音声を「まねる」前提)
・音のつながりをテキストで確認し、印をつける
・リピーティングは避ける(頭の中のカタカナ英語が出やすい)

ポイント②:リズム・抑揚
英語には内容語と機能語があります。英語独特のリズムや抑揚は、原則として、内容語は強く長めに、機能語は弱く短めに発音することで生まれます。

内容語(強く長めに発音): 名詞、形容詞、動詞、副詞など、それ1語で意味がある言葉 例:run(走る)、beautiful(美しい)

機能語(弱く短めに発音): 代名詞、前置詞、接続詞、助詞など、それだけでは意味が取れない言葉 例:at、on、the

効果的な学習方法:
まず語彙力を強化:
・単語帳を復習(単語だけでなくイディオムも)
・単語帳アプリを活用
シャドーイング学習:
・自分のレベルと同等かやや易しめの教材を選ぶ
・吹き込み教材で、文章の意味がほぼ100%取れるもの
・いきなり生の英語や高速教材は避ける(難しすぎてまねできない)
・TOEIC教材でも十分
ネイティブスピーカーとのレッスン:
・定期的に設定し、本物の会話でリズムを練習
・ネイティブスピーカーの発話をオウム返し
・主語をI→Youに変えてまねする訓練
・何度も直してもらい、自然なリズムに矯正
・スクリプトに落としてもらう
・単なる会話レッスンにしない(発音矯正のレッスン設計を事前に)
・可能なら録音して客観的に比較
何度も直されてもあきらめずに素直にまねして修正する、という忍耐力と根気が必要な学習です。覚悟をもって続けましょう。

ポイント③:音声変化
音声変化には一定の傾向や法則があり、ルールはシンプルです。日本語でも「三角形」を「サンカッケイ」と言うように、意識せず音を変化させています。

英語の代表的な音声変化「t」音:
・water → 「ワラー」「ワダー」(「ウォーター」ではない)
・That book → 「ザッ ブック」(「ザット ブック」ではない)
「t」音は位置と前後の音で変化します:
・本来の破裂音としての発音
・脱落
・dのような音
・吸収されたような独特の音

おすすめ教材: 『瞬時にわかる英語リスニング大特訓』
・日本人が苦手なポイントに絞って効率よく学べる
・ビジネス・日常両方で使えるフレーズ収録
・CDにポーズが入っており、隙間時間で練習可能

学習の順番と組み立て方
発音はルールを知識として押さえることも大切ですが、自分で瞬時に再現できるようにならなくては意味がありません。学習の順番や方法は、実は第二言語習得理論でも難しい問題です。理由は一人ひとりの学習スタイルや癖が異なるためです。

自分の学習スタイルを把握しましょう:
・目で見て学習するのが得意か
・耳で聴いて学習するのが得意か
・書いたり想像したり体験したりして習得するのが得意か
・理論を先に知ってから実践に移すタイプか
・実践しながら理論とひも付けていくタイプか
・自分の学習スタイルに合わせて組み立て、最速最短でカタカナ英語から脱却しましょう。

まとめ:容易ではないが、結果は出る
大人になってから英語の発音を直すことは容易ではありません。しかし、以下のステップに沿ってきちんと学習することで結果は出ます。

実践ステップ:
1.リンキングをシャドーイングと音読で習得
2.内容語・機能語のルールを理解し、リズムを体得
3.音声変化のルールを学び、瞬時に再現できるよう特訓
4.自分の学習スタイルに合わせてカスタマイズ

すでに業務で英語を使えるあなたなら、「かっこいい英語」を話せるようになります。頑張ってください。

Q.025


20代 金融機関勤務

英語学習の目標設定について、具体的にどう立てればよいのでしょうか。

A.

結論:英語学習の目標は「5W1H」に基づいて、できる限り具体的に設定することが重要です。なぜなら、目標があいまいなままでは学習計画が立てられず、効率的な成果につながらないからです。

目標が曖昧なままでは学習は進まない
TORAIZでは、受講開始前に必ず学習ゴールを明確にするコンサルティングを行います。教材や学習方法は、設定するゴールによって大きく変わるからです。
しかし実際には、「会社で必要と言われたから」「将来使うかもしれないから」といった漠然とした理由で英語を学びたいという方も少なくありません。こうしたケースでは、まず「どのような場面で、誰と、どのように英語を使うのか」を具体化することから始めます。

具体例で考える目標設定
例えば、次の2つの場面を比べてみてください。

A:200人の前で、自分の専門分野についてプレゼンを行い、質疑応答に対応する。
B:英語ネイティブの同僚数人と、新規事業のブレーンストーミングを行う。

一見するとAの方が難しそうに見えますが、実際により高い英語力が求められるのはBです。CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)で考えるとAはB1、BはB2が目標値。習得に要する学習時間も数百時間は変わってきます。

違いの理由は二つです。
一つ目は「テーマの範囲」。自分の専門分野であれば、馴染みのある専門用語や定型表現を使えば対応できます。一方、新規事業の議論では未知の単語や幅広い知識が必要になります。
二つ目は「要求される流ちょうさ」。プレゼンでは話す速度を調整でき、質問にも時間をかけて答えられますが、ブレーンストーミングでは即座の反応や会話の割り込みが不可欠です。必要とされる瞬発力や自然なやり取りのレベルが格段に高くなるのです。

5W1Hで「使う英語」を描く
このように、目標が少し違うだけで必要とされる英語力は大きく変わります。そのため、学習の出発点として「どこで・誰と・何を・どのように」英語を使うのかを5W1Hレベルで具体化することが欠かせません。

第二言語習得学会の会員でもあるTORAIZ語学研究所は、第21回日本第二言語習得学会国際年次大会(J-SLA2021)にて以下のような研究結果を発表しました。

この研究では、TORAIZで1年間の英語コーチング・プログラムを修了した受講生を対象として、英語学習をする際に具体的なゴール設定をすることの重要性を調査するため、「どこで」「だれと」「何を」「どうやって」の要素のうち、いくつの要素が含まれているかを分析しました。

開始前の点数とプログラム受講期間中の最高点の差
1つの要素を含むものはグループ1、2つの要素を含むものはグループ2、3つの要素を含むものはグループ3、4つの要素を含むものはグループ4に分類しました。また、それぞれの受講生のスピーキング力の伸びを測るために、VERSANTスピーキングテストを使ってプログラム開始前の点数とプログラム受講期間中の最高点の差を測定しました。

発表タイトル「The more specific the goal the better the improvement in second language speaking proficiency(英語学習におけるスピーキング力向上のための具体的なゴール設定の重要性)」
発表内容プレスリリース:https://www.dreamnews.jp/press/0000246587/https://www.dreamnews.jp/press/0000246587/

その結果、ゴールを具体的に設定した受講生ほどスピーキング力が大きく伸びることが確認されています。VERSANTスピーキングテストのスコア推移を分析した結果、目標に「場所」「相手」「内容」「方法」など複数の要素を含めた学習者の方が、より効果的に力を伸ばしていたのです。

まとめ
英語学習を効果的に進めるためには、まず「なぜ学ぶのか」よりも「どんな場面でどのように使うのか」を具体的に描くことが重要です。ぜひ、5W1Hを意識して目標を設定してください。それが学習計画を立てる前提となり、効率的に成果を出す近道となります。

Q.026


20代 IT企業勤務

将来、仕事で英語が必要になることがわかっていますが、どうしても学習が長続きしません。

これまでも色々な方法を試してきました。リモートワークで時間の自由度はあるものの、逆にやる気が出ません。どうすれば継続できるでしょうか。

A.

結論:英語学習を継続するためには「目標を宣言すること」が最も効果的です。期限や数字を伴う宣言を家族や周囲に伝えることで、自分を強制的に学習に向かわせる仕組みを作るのです。

継続できないのは自然なこと
人には学習スタイルの向き不向きがあり、特に「体感覚型」の人は、一人で黙々と机に向かうよりも、人と関わりながらの方が学習意欲が高まります。リモートワークで刺激が減ると、やる気を維持するのが難しい人も多くいます。

家族や周囲に「宣言」する
そこで有効なのが「宣言」です。例えば、「3カ月後の資格試験を目指して、毎日3時間勉強する」と家族に明言してみてください。家族には負担や影響もありますから、共有することで協力も得られます。そして何より、言葉にした手前、やらざるを得なくなる。これが大きな効果です。

もし一人暮らしなら、SNSで「7月に試験を受けます」「1年で英語を使って仕事ができるようになります」と宣言するのもよいでしょう。TORAIZでも、受講生に「1年1000時間」をSNS上で発表し、進捗を報告してもらうことを推奨しています。日々の達成を公開すると、周囲の応援やフィードバックが得られ、続けざるを得ない状況になります。

宣言は成果につながる
実際に宣言しているのは、ビジネスで成果を上げている人に多い傾向があります。高い数字目標を掲げ、それを達成してきた経験がある人は、英語学習でも同じように宣言し、自分を追い込みます。その結果、学習を継続し、確実にステップアップしているのです。

ソフトバンクの孫正義氏も、若い頃から「宣言」で成果を上げてきた一人です。大病の療養中に始めたゴルフでは「1年で90台、2年で80台、3年で70台で回る」と宣言し、実際に達成しました。2000年代に参入した通信事業において「10営業日がんばります宣言」での回線開通や、2010年代にはSNSでソフトバンクに関する意見を広く募り、孫氏自身が「やりましょう」と宣言して様々なアイデアを実現しました。

まとめ
学習を続けるためには「宣言」で自分を追い込むことが有効です。家族やSNSに伝えるのは勇気が要るかもしれませんが、それをためらう時点で、まだ覚悟が足りないのかもしれません。
英語を習得することで自分の人生にどんな可能性が広がるのかを考え、それでも必要だと思うなら、ぜひ宣言してください。継続の第一歩は「やると決めて公言すること」です。今すぐ、声に出してみましょう。

Q.027


20代 重電メーカー勤務

口数が少ない性格ですが、英会話に向き不向きはありますか?

口数が少なく、ゆっくり話す性格です。英会話教室のグループレッスンでも聞き役に回ってしまい、マンツーマンのオンライン英会話でもなかなか上達しません。英会話には向き不向きがあるのでしょうか。

A.

結論:向き不向きはありません。学習方法を自分に合わせれば必ず上達します。

英会話に向き不向きはありません。
口数が少ない性格でも、プライベートレッスンなど自分に合った学習方法で必要な時間をかければ、実務に困らないレベルまで上達します。

よくある「向き不向き説」を検証する
英語学習がなかなか結果が出ないと、「自分は英会話に向いていないのでは」と疑心暗鬼になる気持ちは分かります。業界には古くから様々な説がありますが、データで検証してみましょう。

説①:関西人は英会話習得が早い?
「関西人は話すことが好きで、英語と同じようにイントネーションがあるから習得が早い」という説があります。

検証結果:
TORAIZでは、英語のスピーキングテスト「VERSANT」で、関西在住者と関東在住者の1年間のスコアの伸びを分析してみたことがあります。関西在住者の伸びがわずかに良かったのですが、受講開始時のスコアが少し低かったため、1年後のスコアは両地域でほぼ変わりませんでした。

結論:関西人だからといって特に習得が早いわけではない

説②:外向的な人の方が習得が早い?
受講生の性格で分類して分析をしたことはありません。しかし、内向的な人の多くは、グループレッスンで話すことができず、もどかしい経験をしているようです。
そこで、センターでのグループレッスン(対面)とプライベートレッスン(オンライン)でVERSANTスピーキングテストのスコアの伸びを比較してみました。
※現在はセンター(対面)でのグループレッスンを実施しておりません。

検証結果:
若干ではありますが、オンラインプライベートレッスンの方が高い伸びでした。おそらく、グループレッスンでは会話の流れに乗れずアウトプットの機会が確保できない人でも、プライベートレッスンならしっかり確保できるのだと思います。

結論:内向的でも学習方法を適切に選べば問題ない

説③:楽器や歌が得意な人、耳がいい人は有利?
この説には同意できる部分もありますが、正しいとは言い切れません。
確かに英語のフレーズを一度聞いただけでまねできる人がいます。しかし、きちんと意味を理解せずに発音のまねができてしまうため、シャドーイングの効果が半減します。このような人には、耳だけに頼らず、目を使って文字ベースでの学習も併用してもらいます。

結論:耳がいい人が必ずしも英会話学習に向いているわけではない

VERSANTテストと個性の関係
VERSANTスピーキングテストには向き不向きがあります。このテストは流暢さを非常に重視しており、「あー」「えーと」のようなフィラー(間をつなぐ音)を入れたり、じっくり考えて黙っている間があるとスコアが格段に下がります。

実際に、米国出身の英語ネイティブコーチがVERSANTを受験したところ、じっくり考えて話すタイプだったため、80点満点中60点台という、ネイティブスピーカーとしては非常に低いスコアでした。しかし、このコーチの英語は全く問題なく、現在は米国企業で活躍しています。

つまり、VERSANTのスコアが低くてもビジネスに支障はありません。日本語を話す際にもゆっくり話したり、フィラーを入れたりする傾向がある人は、VERSANTでは良いスコアが出にくいかもしれません。しかし、これは「英会話の向き不向き」とは別の話です。

このようなタイプの人には、VERSANTの特性を理解し、フィラーをなくすトレーニングやより素早く発話できるトレーニングが有効です。
ただし、じっくり考えることは「個性」です。VERSANTのスコアを絶対的な尺度とする必要はありません。

自分に合った学習方法を見つける
学習方法もテストも、自分自身の個性を知った上で相対的に捉えていくのがよいでしょう。口数が少ない性格を「個性」と捉え、自分に合った学習方法で必要な時間をかければ、実務に困ることのないレベルまで英会話が上達することは間違いありません。

まとめ:向き不向きではなく、方法の問題
データと実例から以下が明らかになりました。

・地域による差はない
・性格による差は学習方法で解決できる
・耳の良さは必ずしも有利ではない
・テストの特性と個性は分けて考える

重要なのは、自分に合った学習方法を選ぶことです。口数が少なくても、ゆっくり話すタイプでも、適切な環境と方法で学習すれば必ず上達します。安心して学習を続けてください。

Q.028


30代 メーカー勤務

フレーズ暗記をしていますが、効果を感じられません

TOEICである程度のスコアはありますが、英語で話そうとすると時間がかかり、即座に文章を作れません。フレーズ暗記をしているのですが、特に効果を感じられません。フレーズ暗記に意味はあるのでしょうか。

A.

結論:教材選びと使い方が間違っています。3つのコツで効果が出ます。

フレーズ暗記は効果的ですが、教材選定とやり方を間違うと意味がありません。 ①自分のゴールに合った教材を選ぶ、②複数フレーズから1つだけ覚える、③実務でアウトプットする、この3つで効果が実感できます。

なぜ効果を感じられないのか
フレーズ暗記は、文法や単語の学習をするためのものではありません。基本的な文法や単語を知っていることを前提に、構文に時間をかけず即座に発話するための学習です。ですから、自分が使わないフレーズを覚えても全く意味がありません。
あなたがフレーズ暗記の効果を感じられないのは、ゴールと無関係な教材を使っているからかもしれません。

コツ①:自分のゴールに合った教材を選ぶ
『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』は著名な教材で、3カ月単位の英語コーチングスクールではほとんどの人に使われるほどです。しかし、最も大事なことは自分の英語学習のゴールに合わせた教材を選ぶことです。

専門分野別の教材例:
研究開発・学会発表:『研究発表ですぐに使える理系の英語プレゼンテーション』
生産管理:『世界中で通じる!製造現場の英語』

最近は、Kindle版など電子書籍の普及で在庫リスクがなくなり、専門分野の英語教材が急速に手に入りやすくなっています。かなりニッチな専門分野についても見つかるはずです。

「簡単な教材から」は間違い
多くの人は「難しい教材より簡単な教材から」と考えてしまいますが、TOEICである程度のスコアがある場合、文法的にはどの教材からでも問題ありません。
それよりも大事なのは、より自分のゴールに合っていることです。自分が使わないフレーズを覚えても、文法や単語の面でも参考になりません。自分が使うフレーズを直接覚えるべきです。

フレーズ暗記の本質的な価値
フレーズ暗記は、ネイティブにとってもナチュラルな英語をマスターする優れた方法です。言語には文法では割り切れない部分があるからです。
日本語でも「私がやります」「私はやります」のニュアンスの違いを文法で説明するのは簡単ではありません。何かよくないことをした人が「私はやりました」とは言わないように、言語には文法では説明が難しいニュアンスがあります。
あるシチュエーションを前提としてフレーズを丸ごと覚えることが、ナチュラルな英語をマスターする重要な方法なのです。

コツ②:複数フレーズから1つだけ覚える
多くの教材では、同じ事柄について複数のフレーズが載っていますが、全てを暗記する必要はありません。

例:「会議を始めましょう」
・Let's get started.
・Shall we begin?
・Why don't we get started?

どのフレーズも違和感なく使えますが、まずは一人で仕事を問題なくこなせることを目指すなら、最も覚えやすいものを1つだけ覚えましょう。

例えば「Shall we begin?」だけを覚える理由:
・フォーマルな言い回し
・映画「Shall we ダンス?」を知っているから覚えやすい
・動詞は原形のまま(悩まず使える)

1つのフレーズに絞れば、覚える数は数分の1になります。

なぜ教材には複数のフレーズが載っているのか?
書籍というフォーマットの特性と納得感のためです。書籍にするには最低でも200ページ前後が必要で、それより少ないと背表紙の文字が読めない薄い本になってしまいます。著者はある程度の内容を盛り込む必要があるため、同じシチュエーションに複数パターンを掲載しているのです。
学習者にはこのような事情は関係ありません。自分のゴールに最短で到達するため、割り切って1パターンずつ、全てのシチュエーションを覚え切ることに集中しましょう。

コツ③:アウトプットと応用を意識する
フレーズを暗記するだけではあまり意味がありません。実際の仕事のシチュエーションですぐ使えることが重要であり、フレーズの一部を変える練習も必要です。

応用の例:
元のフレーズ:「We found that 5 out of 1000 became broken.(1000個の内、5個が故障していた)」

変更可能な部分:
・「5 out of 1000」→「1 out of 300」
・「broken(故障)」→「discolored(変色)」

フレーズ暗記の際は、どの部分が入れ替え可能かを意識しながら学習する必要があります。覚えるフレーズを1つに絞る代わりに、実際の活用パターンを意識する方が、同じシチュエーションで複数フレーズを覚えるよりはるかに重要です。

アウトプットについては、最も効果的なのは、実務の中で使うことです。もし可能であれば、自分の学習ゴールに合ったレッスンをしてくれるスクールや講師を見つけ、実際の英語使用シチュエーションに合ったアウトプット練習をしてください。

まとめ:効果的なフレーズ暗記の3ステップ
1.自分のゴールに直結する教材を選ぶ
専門分野の教材を探し、実際に使うフレーズを学ぶ

2.1シチュエーション1フレーズに絞る
覚えやすいものを1つだけ選び、全シチュエーションをカバー

3.応用とアウトプットを意識する
入れ替え可能な部分を把握し、実務で使う

この3つのコツを押さえれば、フレーズ暗記の効果を実感できるはずです。頑張ってください。

Q.029


30代 ソムリエ

ネイティブに厳しく指導してもらったら、英語の苦手意識が強くなりました

「ソムリエの世界大会参加を目指し、半年前から英会話教室に通っています。英語が得意ではないので、真剣にレベルアップしたいとネイティブスピーカーの先生に厳しく指導してもらうようお願いしました。ところが、文法や単語、発音の指摘を受けるうちに苦手意識が強くなり、英語で話すことをちゅうちょするようになりました。どのように指導をお願いするのがよいでしょうか。

A.

結論:ネイティブスピーカーによる文法・発音指導は不要。スクリプト添削とスピーチ練習に切り替えましょう

レッスンの方向性を180度変える必要がありそうです。
「ネイティブ講師に文法や単語、発音の指導は求めず、自分の言いたいことをスクリプトにして添削してもらい、スピーチ練習をする」とよいでしょう。

なぜ厳しい指導が逆効果なのか
ソムリエとして世界大会にチャレンジするのは素晴らしい目標です。しかし、今のままでは世界大会参加までに時間がかかります。

理由①:初級者への文法指導は無意味
文法や単語の知識が足りない成人が、英会話レッスンでインプットやアウトプットをしても意味がありません。自分で文章を組み立てられるようにはならないのです。

理由②:英語で文法を説明すること自体が矛盾
そもそも、文法をネイティブ講師が英語で説明するのはナンセンスです。中学レベルの文法と単語を完全にマスターしていない人に、文法を英語で説明して理解できると考えるのはおかしなことです。

具体例:「三人称単数現在形のs」
画面から目を離して考えてみてください。「三人称単数現在形のs」を英語でどう言いますか?
答え:「Third person singular present tense」
この中の「singular」は、アルクの単語レベルでレベル5(大学受験前に覚える英単語)です。中学レベルの学習者は知らないでしょう。一方で「三人称単数現在形」という文法は中学1年のレベルです。
ここに矛盾があります。 文法を英語で説明しようとすること自体が、学習のステップ論として成立しないのです。

英語で文法を習う複雑怪奇なプロセス
成人は恐らく一度、日本語で文法を学習しています。そのような人が英語で文法を習うと、次のような複雑なプロセスを経ることになります:

1.英語での文法説明のリスニング
2.英語での文法説明の日本語化
3.英語訳と既習の日本語文法説明との突合
4.文法自体の理解
5.文法自体の暗記

このプロセスは非常に困難です。その場でおぼろげに理解しても、脳に暗記する余力がなく、自宅で復習もできません。
初級者であればあるほど、英会話レッスンとは別に、中学レベルの文法と単語をきちんと学習し直しましょう。 文法を学べるスクールやスマートフォンのアプリもたくさんあります。すでにレッスンを始めている場合には、同時並行でよいので一気に中学レベルの文法と単語をやり直しましょう。きちんと計画を立てれば3〜6カ月で十分可能です。

発音はカタカナ英語でも問題ない
成人が英語の発音を矯正するのは非常に時間がかかり、なかなかネイティブスピーカー並みにはなりません。
まずは発音を矯正するより、カタカナ英語でも最低限仕事ができる英語コミュニケーション力を身につけるべきです。 なぜなら、それで十分に仕事ができるからです。

実例:ノーベル物理学賞受賞者の英語
2021年にノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎さんの英語を聞いてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=9EObe7t_aHU
イントネーションはしっかりしているものの、ネイティブスピーカーの発音とはかなり異なります。

しかし、語るべき内容があれば発音はそれほど重要ではないと分かります。 何しろ米国で研究し、ノーベル物理学賞を取ることができるのですから。

発音の指導をネイティブ講師にお願いする必要はありません。もちろん、最低限のコミュニケーション力からさらに上を目指すことは素晴らしいことですが、今のあなたには優先順位が違います。

英会話レッスンで本当にすべきこと
ソムリエの大会で話すであろう内容を英語でスクリプト化し、添削してもらい、スピーチ練習をすることです。
ネイティブスピーカーでない人が書いた文章には、文法や単語の間違いがなくても、微妙にニュアンスの違いがあって違和感がある場合が多いものです。ソムリエのような微妙な感覚の表現を必要とする場合はなおさらでしょう。

ソムリエの世界大会の強み:
・テーマはワインに絞られている
・スクリプトで対応できる局面が多い

ゴールが明確である分、アウトプット志向で英会話レッスンをすることをお勧めします。

具体的な学習計画
①基礎固め(3〜6カ月)
中学レベルの文法と単語を自主学習でやり直す
スクールやアプリを活用

②英会話レッスンの内容変更
文法・単語・発音の指導は求めない
大会で話す内容をスクリプト化
ネイティブに添削してもらう
スピーチ練習に集中

③自主学習の補強
基礎英語力を高めるシャドーイング
ワイン関連の英語表現を集中学習

スクール変更も視野に
英会話スクールによっては、個人のゴールに合わせてレッスン内容を変更できないかもしれません。そのような場合は、スクールを変えることも必要です。

あなたのゴールは明確です。ソムリエの世界大会で自分の言葉でワインを語ることです。そのゴールに合わない指導は、時間の無駄だけでなく、あなたの自信を奪ってしまいます。

まとめ:目標に直結する学習を
文法・発音の厳しい指導は今は不要
基礎は自主学習で3〜6カ月かけて固める
レッスンは大会のスクリプト添削とスピーチ練習に特化
ゴールに合わない指導なら、スクールを変える勇気を

ソムリエとして世界一を目指してください。応援しています。

Q.030


40代 自動車関連メーカー勤務

TOEIC対策はしてきましたが、実務で英語が使えません

EV化とグローバル化への対応として、ポジションごとに必要な英語力がCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)で規定されました。私のポジションはCEFR B1レベルが必要です。英語は大学受験とTOEIC対策で勉強してきましたが、実務で使ったことがなく、どうしたら実務的な英語が身につくのか分かりません。どのように学習すればよいでしょうか。

A.

結論:現在のレベルを測定し、目標に合わせた教材とレッスンで個別最適化しましょう

①VERSANTスピーキングテストで現在のレベルを測定、②レベルとゴールに合った教材選定、③適切なレッスンスタイルの指示、この3ステップで実務英語が身につきます。

個々の学習ゴールに合わせて、学習の最適化が重要
TORAIZでも、自動車関連企業に勤める受講生の方が多くいらっしゃいます。EV化やグローバル化が一体となって進展しているからだと思います。実務で英語が使えないという悩みは多く聞きます。

重要なのは、個々の現状と学習ゴールに合わせて、教材選定やレッスン内容、学習の進め方を最適化することです。

ステップ①:現在のレベルを正確に把握する
まず、英語のスピーキングテスト「VERSANT」を受験することをお勧めします。 口頭での英語コミュニケーションレベルを知ることが非常に重要です。自分のスコアを見ながら教材を選んでください。

特にピアソンの教材は、CEFRと対応したレベルで分類されているので選びやすいはずです。

ステップ②:レベル別の教材選定
【中級者向け】フレーズ暗記
『ビジネスで1番よく使う英会話』(松井こずえ、Jリサーチ出版)
https://amzn.asia/d/bmoXEsO
シンプルな表現が多く、すでに知っている単語と文法で使えるフレーズが豊富です。覚えることが目的ではなく、瞬時に発話できるようにトレーニングします。

【上級者向け:VERSANT 47点程度以上】フレーズ暗記
『世界のエリートを唸らせる 話すビジネス英語』(塚本亮、三修社)
https://amzn.asia/d/3mDCBwX
「意味は知っているが難易度の高い動詞」の使い方を理解でき、ネイティブが使うような洗練された複雑な表現へ成長できます。

【中上級者向け】シャドーイング
『改訂版 究極のビジネス英語リスニング Vol.3』(アルク)
https://amzn.asia/d/iMTRfTu
リスニングの課題は「きれいな英語は聞き取れるが、早かったりなまりが入ると聞き取れない」ことです。この教材は、なまりが多いノンネイティブとネイティブが混ざるビジネスの場を想定しており、実践に近い形で音声知覚を身につけられます。

【上級者向け】シャドーイング
『世界基準のビジネス英会話 重要交渉戦略15パターン』(竹村和浩、ビル・ベンフィールド、三修社)
https://amzn.asia/d/eVduVuP
早い英語の聞き取りに加え、ネイティブと対等に渡り合えるテクニックや表現も学べます。

【製造業特化】
『仕事現場の英会話 製造業編』(高橋信弘、ディーエイチシー)
https://amzn.asia/d/hxoHTkZ
期間にもよりますが、ある程度力をつけた後の仕上げ教材として最適です。

【ネイティブスピーカーとのレッスン教材】
CEFR B1レベルでビジネス英語なら:
『Business Partner B1』(ピアソン)
https://amzn.asia/d/4vtpmUV
ビジネスで必要な単語、文法など実践で使える表現をオーディオやビデオで学べる

ビジネススキルも同時に学ぶなら:
『Market Leader Extra (3E) Intermediate』(ピアソン)
https://amzn.asia/d/0msvVF1
プレゼンテーション、交渉、フォーマルなEメールライティング、ミーティング、面接などを実践的に学べる

自動車業界特化なら:
『English for the Automobile Industry』(オックスフォード出版局)
https://books.rakuten.co.jp/rb/11105056/

これらは日本のAmazonなどで購入可能です。

ステップ③:学習ロードマップの作成
①教材で試し学習をする
教材を手に入れたら、まず実際に学習してみましょう。自分のレベルに合っているか確認することが重要です。

教材選びの基準:
自分の実力より少し上くらい
半分以上の単語や文法が分からない教材は避ける(効果的でなく、苦痛でやめる可能性が高い)

②学習時間を計測する
1ページを学習するのにどのくらい時間がかかるか測定します。その上で、自分が英語学習に使える時間を考え、教材を仕上げる期間を割り出しましょう。

③復習をスケジュール化
一度やるだけでは忘れてしまうので、復習もスケジュールに組み込みます。

レベル別のレッスンスタイル
スクールや講師に、どのようなスタンスでレッスンを運営してもらうか相談することも大事です。

【CEFR B1未満の方】
・発音や細かな文法の間違い、ニュアンスの指摘よりも
・発話を促すようなレッスンを希望

【CEFR B1以上の方】
・スクリプトを事前に文字起こしして全文チェックしてもらう
・細かな文法の間違いやニュアンスについても指摘を受ける
・レッスンでは発音やイントネーション、強弱についても指摘をもらう
・ハイレベルな交渉では重要になる

実務英語習得の3ステップまとめ
1.VERSANTスピーキングテストで現在のレベルを測定(口頭でのコミュニケーション能力を正確に把握)
2.レベルとゴールに合った教材を選定
・自分の実力より少し上
・業界特化の教材も活用
・試し学習で確認

3.適切なレッスンスタイルを指示
・CEFR B1未満:発話重視
・CEFR B1以上:細かな指摘も含む

現在のレベルとゴールに合わせて教材を選択し、学習プログラムを組むことが非常に重要です。日本の基幹産業である自動車産業のためにも、英語学習を頑張ってください。