三木雄信に聞く!あなたのナゼ?に答えます!

Q.061


30代 飲食業

どうすれば英語のスピードに対応できますか?

英語を聞くときも話すときも、スピードについていけません。英語は単語をつなげたり、省略したりするので、実際の文より短く発音されているように感じます。例えば「You can get~」の can が消えて「/jungε/」のように聞こえることがあります。英会話動画を0.5倍速で聞くと、過去形や現在完了形の音が抜けているのも分かります。どうすればこうした速い英語に対応できるでしょうか?現在はTOEIC600点前後・IELTS5.5程度で、将来的にはTOEIC800点、IELTS8.0を目標にしています。仕事では海外からの観光客が来店した際に英語を使っています。

A.

結論:英語の速さに対応するには「音声変化のルールを体得する」ことが不可欠です

「音声変化のルールを体得する」ための学習ステップは、①音の変化を理解する、②文字で確認する、③シャドーイングで再現する、の3段階です。これを実践すれば、半年ほどでリスニング力を大きく伸ばせるでしょう。さらに、目標スコアの設定についても現実的な検討が必要です。

1. 英語の音声変化のルールを知る
英語には代表的な3つの音声変化があります。
・リンキング:
2つの単語の語尾と語頭の音がつながって聞こえることを指します。例えば、「Talk about」が「トーク・アバウト」ではなく「トーカバゥ」に聞こえるようなケースです。フランス語の「リエゾン」と同じ現象です。

・リダクション:
単語の音が消失したり極めて小さくなったりすることを指します。語尾が「b」「d」「g」「k」のときに見られます。例えば、「Good time」が「グッド・タイム」ではなく「グッタイム」と聞こえるようなケースです。

・フラッピング:
単語の中の「t」の音が「d」と「r」の間のような音に変化することを指します。例えば、「Get it」が「ゲット・イット」ではなく、「ゲディッ/ゲリッ」のように聞こえるケースです。

これらは暗記よりも、実際のリスニングの中で「この組み合わせではこう変化する」と経験的に覚えることが大切です。

2. 音の変化を文字で確認する
次のステップは、教材を使って「耳」と「目」の両方で音の変化を捉えることです。0.5倍速で聞き取り、聞こえた通りに発音記号やカタカナで書き込みます。例えば「Talk about」の下に「トーカバゥ」と記録するイメージです。文字化しながら音読すると、脳が音と文字を一致させやすくなります。

3. シャドーイングでスピードに慣れる
最後はシャドーイングです。音声に遅れず発音できるかがポイントです。追いつけない場合は、音声変化を十分にとらえられていない可能性があります。なぜなら、音声変化によって、発話する音の数も変化するからです。元の音声通りに発音できれば、長い文章や速いスピードでも遅れることはなくなります。

学習ゴールを明確に設定する
一方で、質問者の目標設定には注意が必要です。TOEIC800点とIELTS8.0は同じレベルではありません。TOEIC800点は数か月の集中学習で十分到達可能ですが、IELTS8.0はネイティブスピーカーに近い水準であり、数年単位の努力が必要です。

もし「観光客対応で困らない英語」を目的にするなら、TOEIC800点を当面の目標に設定するだけで十分効果があります。IELTS8.0は、海外大学院進学など明確なキャリア目標がある場合にのみ必要となるでしょう。

まとめ:
英語の速さについていけない原因は、音声変化を聞き取れないことにあります。①音声変化のルールを知る、②文字で確認する、③シャドーイングで再現する、の3ステップで学習すれば、確実にリスニング力は伸びます。そのうえで、数値的なゴールは自分のキャリアと照らし合わせて設定してください。焦らず、しかし着実に学習を続ければ、半年後には聞き取りの手応えを実感できるはずです。

Q.062


30代 外資系IT企業勤務

グローバル組織で各国メンバーとうまく連携するコツを教えてください

外資系IT企業の日本支社で働いています。現在は米国本社のもと、グローバルな開発組織に所属しています。日本側の要望がなかなか通らず、プロジェクトが停滞気味です。特に、米国人の取締役に直接相談したところ、ドイツ人のプロジェクトマネージャーとの関係が悪化し、さらにポーランド人メンバーも距離を置くようになってしまいました。こうしたグローバル組織で、日本人以外のメンバーとうまく連携するコツを教えてください。

A.

結論:段階的にスコアを積み上げ、戦略的に「語彙・リスニング・リーディング・問題演習」を強化することが最短ルートです。

今回のケースでは、「取締役の米国人に直接相談する前に、ドイツ人のプロジェクトマネージャーと徹底的に議論し、その合意を経て取締役に伝える」というプロセスを踏むべきでした。外資系といえども、常に階層を飛び越えて行動してよいわけではなく、国によって重視されるビジネス文化の軸が異なるためです。

国によって異なるビジネス文化
グローバルに仕事をする上では、日本と海外といった単純な区分ではなく、国ごとの文化の違いを理解することが不可欠です。分析的に学ぶ上で参考になるのが、エリン・メイヤー氏の著書『異文化理解力』(英治出版)です。同書では、8つの軸で各国の文化を位置付け、合意形成や上下関係の捉え方を明確に示しています。

特に今回関係するのは「平等主義と階層主義」の軸です。ドイツは米国より階層主義寄りにあり、ポーランドはさらにその傾向が強い国とされています。そのため、ドイツ人のマネージャーを飛び越えて米国人の取締役に直接働きかけたことが、ドイツ人やポーランド人に違和感を与えた可能性があります。

チームに文化をつくることの重要性
今後同様の場面では、階層主義的な国との仕事では「上司を経由して上に話を上げる」というスタイルを基本にしたほうが安全です。特に日本的なビジネス文化に近い国々では、この方法が有効に機能します。
さらに、エリン・メイヤー氏は、グローバルチームで協働する際には「どの場面で階層を飛び越えてよいか」「メールのccをどう扱うか」といった具体的なルールを事前に決めておくことを推奨しています。こうした共通ルールをチーム全体で合意することで、国ごとの文化差によるトラブルを未然に防げます。

まとめ:
今回の教訓は、「国ごとに異なる文化を理解した上で、相手が重視するプロセスを尊重すること」です。特にドイツやポーランドのように階層を意識する文化圏では、上司を飛ばさず順序を踏むことが信頼構築の第一歩となります。ぜひ『異文化理解力』を参考に、グローバル組織での立ち回り方を体系的に学んでいただければと思います。

Q.063


10代 学生

最速・最短でTOEIC L&R 900点を獲得できる勉強法を教えてください

就職活動で英語力を強みにしたく、TOEIC L&Rで900点以上を目指しています。しかし、なかなかスコアが伸びずに悩んでいます。最短・最速で目標スコアを達成するための効果的な勉強法を教えてください。

A.

結論:段階的にスコアを積み上げ、戦略的に「語彙・リスニング・リーディング・問題演習」を強化することが最短ルートです。

TOEICで高得点を取ることは就職活動で英語力をアピールできる強力な武器になりますね。実際、895点以上を取れる受験者は社会人でわずか4.2%、大学生では2.6%しかおらず、履歴書に書けば大きなインパクトになります。

段階的目標設定で効率的にスコアアップ
現在のスコアが700点台の場合は、いきなり900点を狙うよりまず800点を目標にすることをおすすめします。段階的にスコアを積み上げることで、教材選びや勉強法の選定ミスを避け、効率的に学習を進められます。800点を目指す学習法については、過去のQ&A「TOEIC L&Rスコア500点台から、短期間で800点を獲得する学習方法を教えてください」を参照してください。

現在のスコアが800点以上ある場合は、どのように勉強すればいいのでしょうか。TORAIZ語学研究所では、TOEIC L&Rでハイスコアを獲得するためのノウハウをTORAIZのコンサルタント(平均スコア937点:2021年9月時点)から収集しています。それらの一部を「英単語」「リスニング」「リーディング」「問題集」に分けて紹介します。

英単語は例文ごと覚える
英単語は単語帳を丸暗記するのではなく、例文ごと覚えることがポイントです。過去問題や公式問題集に出る単語は、文脈とセットで暗記することで、実際のテストでも応用できます。

リスニングは質重視で満点を狙う
リスニングは「量より質」が重要です。おすすめは『CNNニュース・リスニング』で短いニュースを繰り返し聞き、音声変化を完璧に再現できるまで練習する方法です。これにより、リスニングで高得点を取る力がつきます。

リーディングは速読力と時間配分が鍵
TOEICのリーディングは、限られた時間内で長文を読み解く速読力が重要です。その指標の一つがWPM(Words Per Minute:1分間に読める英単語数)で、スピードを上げることが高得点の鍵となります。

シャドーイングで読む力を強化
効果的な勉強法のひとつが「シャドーイング」です。シャドーイングとは、音声を聞きながらテキストを見ずに即座に声に出して繰り返す学習法です。最後まで文章を理解しつつ、気になった箇所を見直せる余裕を持つことが望ましく、目標WPMは200以上です。

シンクロリーディングで理解とスピードを同時に伸ばす
シャドーイングに加えて、「シンクロリーディング」も効果的です。これは、英文テキストを見ながら音声を聞き、同時に声に出して読む学習法です。パート7の長文読解に対応するため、250~300WPMのスピードでテキストを声に出して読む練習を行うと、読むスピードと理解力の両方が鍛えられます。

時間配分を意識して解く
テストでは、リーディングセクション全体を75分以内で解き終えることが求められます。具体的には、パート5(短文穴埋め問題)を10分、パート6(長文穴埋め問題)を10分、パート7(長文読解問題)を55分と時間配分を決めて解くと効果的です。過去問や模試を活用して、この時間内で解く感覚を身につけましょう。

パート7の攻略が高得点のカギ
TORAIZコンサルタントによると、TOEICで高得点を狙う上で最も重要なのはパート7の長文読解です。対策としては、パート7専用の教材を繰り返し使い、場数を踏むことが得点アップにつながります。

問題集を完璧に仕上げる
公式問題集や模試を最低3回は解き、全問正解できるレベルまで仕上げましょう。偶然正解した問題が残るようでは十分ではありません。解答の理由を明確に説明できることが理想です。また、パート2の「応答問題」においてハイスコアを獲得している人でもミスしがちな問題があるので注意が必要です。それは「〇〇の期日はいつか」という質問に対して、解答が「日時」に関するものだと思いきや、それが選択肢になく、正解は「Mark に聞いて」というようなひっかけパターンがある問題です。ひっかけ問題を正解できるようになるには、ケーススタディーに沿って問題パターンを研究することも効果的です。

最短で900点を獲得する4つのステップ
まとめると、TOEIC900点を最速で獲得するためには、①段階的な目標設定、②語彙の文脈暗記、③リスニングとリーディングの質重視の練習、④模試を完璧に仕上げるの4つのステップを徹底することが重要です。これらを戦略的に実践すれば、効率よく目標スコアに到達できます。

Q.064


40代 経営者

多忙な経営者でも英語をマスターする方法はありますか?

自社の展開を見据えて英語の学習をしたいと考えています。しかし、1年で1000時間、毎日3時間の学習時間を確保するのは難しく、始めることができずにいます。今後ますます多忙になり、夜に会食が入ることも多くなりそうです。このような状況で、どのようにしたら英語をマスターできるでしょうか。

A.

結論:短期集中か長期分散か、自分の生活リズムに合った学習プランを選び、自由に時間を調整できる経営者の立場を活かすことが成功の鍵です。

「英語を習得したい」と考える経営者は非常に多く、TORAIZではスタートアップ経営者や株式公開前後の企業トップも学習を継続しています。ただ、経営者は多忙で学習時間を確保しにくいため、継続率が下がる傾向があることが分かっています。リスニング力がつき始める6カ月目あたりで学習が途絶えてしまう人も少なくありません。
その理由は二つあります。第一に、経営者は新しいものや経験に対する好奇心は強いものの、飽きやすい傾向があります。第二に、会社経営の状況次第では、時間的・精神的に学習に集中できないことがあるためです。

短期集中型プラン:6カ月で成果を出す
1つ目のプランは、1日あたり可能な限り学習時間を確保し、6カ月で集中して仕上げる方法です。早朝1時間、通勤中1〜2時間、帰宅後1時間など、1日3時間以上を学習にあてます。夜の会食を制限する必要がある場合もありますが、短期間で英語力を大幅に向上させることが可能です。週末も平日に不足した学習時間を補うことが望ましく、趣味の時間をある程度控える覚悟が必要です。

長期分散型プラン:無理なく1年以上かけて習得
2つ目は、1日の学習量を抑えて期間を1年以上に分散するプランです。1週間の学習時間を10時間以下に設定し、空き時間を活用して学習します。負荷は少なく、柔軟にスケジュールを組める一方で、効率面では短期集中型に劣る可能性があります。英語力向上には、一定以上の負荷をかけることが効果的である点は、筋トレの「超回復」と同様です。

学習効率を最大化するために
長期分散型では、予習・レッスン・復習のサイクルが回りにくく、効率が落ちることもあります。本来理想的なのは、就寝前に予習、早朝にレッスン、昼休みに復習というサイクルを維持することです。

経営者ならではのアドバンテージ
経営者は、自分に合った学習環境や時間を柔軟に設定できる点が強みです。通常の社員であれば業務時間中の学習は難しいですが、経営者であればスケジュール調整が可能です。この自由度を活かして、短期集中でも長期分散でも、自分に合った学習スタイルで英語力を伸ばせます。実際に、グローバル化を進めている企業の経営に携わる経営トップ、COO(最高執行責任者)、CTO(最高技術責任者)の3名が同時に英語学習を開始した例もあります。

多忙な日々の中でも、時間の調整力というアドバンテージを活かせば英語習得は可能です。まずは一歩踏み出し、計画的に学習を進めてみてください。応援しています。

Q.065


60代 出版社勤務

定年後のボランティア観光ガイド、英語学習はどこから始めるべきでしょうか?

65歳定年後、故郷でボランティア観光ガイドをしたいのですが、英会話の経験がほとんどありません。長いブランクがある場合、どう学習を始めればよいでしょうか?

A.

結論:まず希望する自治体の募集要項で求められる英語力を確認し、そのレベルに合わせた学習計画を立てることから始めましょう。最短半年から1年半で必要な実力をつけることは十分可能です。

まずは目標レベルの確認を
定年後の人生設計をしっかり考えられていることは素晴らしいですね。ボランティア観光ガイドとして地域に貢献する目標は、充実したセカンドライフにつながるでしょう。

自治体によって求められる英語力には差があります。札幌市では「日常会話程度以上」、岐阜県では「英検2級またはTOEIC600点以上」、鹿児島県では「英検準1級・TOEIC730点同等以上」と明記されています。災害時の外国人サポートも想定されているため、それなりに高いレベルが必要です。
まずは希望する自治体の募集要項を確認し、具体的な目標を設定しましょう。

学習計画の立て方
資格要件が明記されている場合、それが65歳までに達成すべき目標になります。TOEIC L&Rと英検のどちらを選ぶかは、両方の過去問題集を試してから、取り組みやすい方を選ぶとよいでしょう。
過去問がまったく理解できない場合は、中学英語の文法復習と基礎単語3000語程度の習得から始めてください。参考書を使えば3〜6カ月で基礎を固められます。
逆に過去問に手応えを感じたら、繰り返し解いたり模擬試験を受けたりして実力を伸ばしていきましょう。

英会話学習に適した教材
ボランティア観光ガイドでは日常会話力が求められるため、幅広いシチュエーションをカバーできる教材を選びましょう。次のような教材がおすすめです。

リスニング(シャドーイング)教材:
・『究極の英語リスニング Vol.1』(アルク) ー 基本1000語で構成
・『決定版 英語シャドーイング[超入門]』(コスモピア) ー シャドーイングの基礎

スピーキング(パターンプラクティス)教材:
・『起きてから寝るまで英語表現1000』(アルク) ー 日常表現を網羅
・『たったの72パターンでこんなに話せる英会話』(明日香出版社) ー 文法と実用表現
・『英会話 超リアルパターン500+』(コスモピア) ー 頻出フレーズ200パターン

英会話レッスンの活用
英会話学校やオンライン英会話で実践力を養うことも効果的です。できれば個別目標に合わせたレッスンを提供する担当制スクールを選ぶとよいでしょう。
これらの学習を継続すれば、最短半年、長くても1年半でボランティア観光ガイドに応募できる実力がつきます。採用後は、故郷の観光名所を英語で説明できるよう学習を続けてください。充実した第2の人生を応援しています。

Q.066


30代 外資系企業勤務

英語プレゼンの反応がよくありません。説得力を高めるにはどうすればよいでしょうか?

外資系企業に転職後、英語でプレゼンする機会が増えましたが、反応がいまひとつです。説得力のある英語プレゼンをするにはどうすればよいでしょうか?

A.

結論:日本語の「起承転結」から英語の「PREP話法」へ思考を切り替え、情報を整理するフレームワーク「DIKW」を活用しましょう。話法の転換が説得力向上の鍵です。

日本語と英語の話法の違いを理解する
転職後に英語プレゼンの出来が気になるのは当然のことです。現状を打破するには、日本語プレゼンで身についた「思考の癖」から抜け出し、英語に通用するやり方を把握することが先決です。

日本語の一般的な話法は「起承転結」です。問題提起(起)、説明(承)、話題転換(転)、結論(結)という流れで、もともとは漢詩の作法とされています。

例えば、ホームページ制作会社のコンペを上司に報告する場合を考えてみましょう。
・起「部長、コンペに関して相談です」
・承「3社に見積もりを依頼しました」
・転「しかしC社が与信チェックで見送りになり、2社のコンペになりました」
・結「結果、B社に依頼したいと考えています」
この話法は英語話者には非常に回りくどく聞こえます。私自身、ソフトバンク在籍時代に孫正義社長から「結論から言え」と指摘されたものでした。

PREP話法で明確に伝える
英語話者により明確に伝えるには「PREP話法」が効果的です。Point(結論)から始め、Reason(理由)、Example(例)を述べて、最後にもう一度Point(結論)で締める話法です。

同じ事例をPREP話法で組み立ててみましょう。
・Point(結論)「ホームページ制作会社はB社に決定したいと考えています」
・Reason(理由)「価格面と納期の両面で優れているからです」
・Example(例)「B社は価格がA社より約10%安い300万円で、納期も1カ月早いです。C社は与信チェックで見送りになりました」
・Point(結論)「ついては、B社に決定したいと考えています」
明らかにPREP話法の方が意図を理解しやすいですよね。

DIKWで情報レベルを整理する
次に重要なのが「DIKW」です。これは情報工学のフレームワークで、情報を「Data(生データ)」→「Information(データの解釈)」→「Knowledge(将来の見通し)」→「Wisdom(価値判断)」の4レベルに分けて認識する方法です。

書店の例で考えてみましょう。月次売上の生データは「Data」、過去数年分から「減少傾向にある」と解釈するのが「Information」です。「店舗撤退」や「カフェ併設型にリニューアル」などの対策が「Knowledge」、その中から「カフェ併設型を選ぶ」という価値判断が「Wisdom」にあたります。

日本語の「情報」や「資料」にはこれら全ての意味が含まれているため、どのレベルまで求められているかが分かりにくい傾向があります。

重要なポイントは2つです
第一に、自分が作ろうとしているものがDIKWのどのレベルかを認識すること。上司からの依頼なら、どのレベルを想定しているか確認しましょう。
第二に、DataとInformationのスライドを作る際、両者を明確に分けて示すこと。Dataはグラフ化し、Informationはテキストメッセージにします。この2つをセットにして1枚のスライドにまとめれば、理解しやすさと説得力が格段に増します。

英語スキルを高める実践法
最後に、プレゼン英語のスキル向上法を紹介します。
まず、プレゼン用フレーズ集で必要なフレーズを厳選して覚えましょう。全て暗記する必要はありません。
次に、実際に英語で模擬プレゼンをします。1枚のスライド説明に平均どれくらい時間がかかるか把握すれば、持ち時間に合わせたスライド枚数が分かります。
可能であれば英語話者に聴衆役を依頼し、質疑応答も練習してください。相手が見つからなければ、プレゼンを動画撮影して自分で確認しましょう。弱点や問題点を把握でき、落ち着いてプレゼンできるようになります。

応援しています。頑張ってください。

Q.067


30代 化学メーカー勤務

シャドーイングについていけません。効果を感じるのにどのくらい時間がかかりますか?

将来、英語で会見やセミナーのファシリテーションを任される予定ですが、シャドーイング練習で口が回らず、どこまでやり込むべきかも分かりません。効果を実感するにはどのくらい時間がかかるのでしょうか?

A.

結論:口が回らないのは英語特有の筋肉が未発達だからです。マンブリングや音読から始め、完璧を目指さず「口が回らない箇所を5カ所から1〜2カ所に減らす」レベルを目標にしましょう。効果実感には通常3〜6カ月かかります。

なぜ口が回らないのか
シャドーイング初心者の多くが、英語の音声に口の動きが追いつかない経験をしています。これは日本語話者が英語発音に使う口や舌の筋肉に慣れていないためです。まずは普段使わない筋肉を鍛える必要があります。
筋肉トレーニングと同じで、コツが分かってもすぐには習得できません。練習を重ねれば少しずつできるようになります。ハードルが高いと感じるなら、次の2つの学習法を試してください。

シャドーイング前の準備運動
1.マンブリングから始める
マンブリングは聞いた音声を口の中でつぶやくトレーニングです。正確な発音は目指さず、口を閉じて「ムムー」とハミングしながら、音の抑揚とアクセントだけを英語に合わせます。シャドーイングの準備体操と考えてください。

2.音の変化に慣れる
英語のラジオやポッドキャスト、YouTubeなどを利用しネイティブ話者の「音の変化」に慣れましょう。日本の教材の多くは単語を明確に区切って発音していますが、実際の会話では単語がつながったり子音が脱落したりします。

音の変化に関する詳しい学習方法は、過去のQ&A「どうすれば英語のスピードに対応できますか?」で紹介していますので、ぜひご覧ください。

音の変化の学習は、まず変化パターンを押さえることから始めます。場合によってはテキストにカタカナで音がどう変化したかを書き込むことも、良い学習法です。

これらを経てシャドーイング練習をすると、成果を実感しやすくなります。もしそれでもうまくできない場合には、次に紹介する学習法も試してみてください。

初学者におすすめの段階的学習法
それでもうまくいかない場合は、以下の方法を試してください。

音読から始める: まず音声を聞いて音の変化パターンを押さえ、ネイティブになったつもりで音読します。音声は流さず、自分のペースで抑揚とアクセントをつけて読んでください。
慣れたら徐々に速度を上げ、音声とほぼ同じ速度になったら、音声に合わせてテキストを見ながら音読する「シンクロリーディング」に進みます。これができるようになればシャドーイングもやりやすくなります。

低速シャドーイング: ICレコーダーやスマホアプリで再生速度を0.8〜0.9倍に落とす方法もあります。ただし、あまり遅くしすぎるのは避けましょう。TORAIZ語学研究所のフェローである第二言語習得の第一人者・門田修平氏は「会話として自然さを失うような速度に落とすことはシャドーイングとして適切でない」と指摘しています。筋トレと同じで、一定の負荷が必要なのです。

どこまでやり込むべきか
完璧を目指すと挫折してしまいます。シャドーイングの完成レベルは「最初に口が回らない箇所が5カ所あった場合、1〜2カ所に減らすこと。また、すべての単語や音のまとまりの意味が理解できる状態」で十分です。

意味をすべて理解できれば、完全にシャドーイングできるまでやる必要はありません。リスニングで意味を理解し会話が成立することが重要だからです。完璧を目指しすぎると時間がかかりすぎ、挫折の原因になります。

効果を実感するには
自分の成長を日常的に実感するのは難しいものです。小さい子どもが自分の背の伸びに気づかないのと同じです。

効果を実感するには「時点間の比較」が有効です。通常、3〜6カ月で効果を実感できる人が多いです。すでに学習中なら、2〜3カ月前の教材を引っ張り出してシャドーイングしてみてください。以前は難しいと感じた内容が、割と簡単だと気づく瞬間があるはずです。

これらを実践して、シャドーイングへの苦手意識が減ることを期待しています。英語スキルアップのため、ぜひ練習を継続してください。応援しています。

Q.068


20代 メーカー勤務

GW以降、英語学習のやる気が起きません。どうすれば学習を継続できますか?

4月から英語学習を始めましたが、GW後に生活サイクルが乱れて学習意欲が上がりません。このままではいけないと分かっているのですが、どう解決すればいいでしょうか?

A.

結論:短期的なマイルストーン(中間目標)を設定しましょう。人は未来のリターンを過小評価する傾向があるため、年単位の目標だけでなく、数カ月先、さらには毎週・毎日の具体的な目標設定が学習継続の鍵となります。

五月病は誰にでも起こる
安心してください。同じ状況に陥っている学習者はたくさんいます。いわゆる五月病ですね。この解決策として、学習のゴールを再確認し、月単位の短いマイルストーンを設定することをおすすめします。

なぜマイルストーンが必要なのか。行動経済学によれば、「人は今ではなく、未来に得られるリターンを過小に評価する傾向がある」ことが分かっているからです。

マイルストーンの設定方法
学習ゴールは人によって異なります。「来年3月のドイツ見本市で英語で説明と質疑応答をしたい」「来年3月までにIELTS7.0を取得して英国にMBA留学したい」など、さまざまです。

五月病になる人の共通点は、ゴールの期限設定が年単位で、月単位の短いマイルストーンをあまり意識できていないことです。マイルストーンとは「道路脇に立てる、起点からの距離を示した標識」のことで、昔は街道に一定距離ごとに設置され、旅程管理に使われていました。英語学習にもこの概念が必要なのです。

例えば「来年3月のドイツ見本市で英語対応したい」というゴールなら、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)B1レベルが必要です。しかし来年3月までは期間が長すぎて、行動につながりません。
そこで、学習開始から6カ月後の9月にCEFR A2+を目指すという月単位のマイルストーンを設定しましょう。VERSANTスピーキングテスト(以下、VERSANTテスト)など、スコアがCEFRに準拠しているテストを受けることをおすすめします。VERSANTテストは申込後、有効期限まで1年間あるので、今すぐ申し込んでおけます。

質的なマイルストーンも設定する
数字目標だけでなく、実際の学習目標に近い質的なマイルストーンも設定すれば学習意欲が高まります。
・社内の英語学習コミュニティーで課題発表と質疑応答を英語で行う
・上司が対応していた海外クライアントに自分が英語で製品説明をする
このマイルストーンを関係者に伝えれば、よりコミットできるようになります。

「来年3月までにIELTS7.0取得」が目標なら、来年3月を待たずに、まずIELTSを受験して現状を把握しましょう。ライティング、リーディング、リスニング、スピーキングの分野別に目標を立てることも必要です。得意不得意を前提に、「ライティング7.5、リーディング7.5、リスニング7、スピーキング6.5」などと設定します。
2万円を超える受験料が高いと感じるなら、主催団体が実施するIELTSプログレス・チェック(模試)という選択肢もあります。約4分の1の受験料で自宅受験が可能です。

ポイントは、1年先ではなく数カ月先のマイルストーンを設定することです。これについて、行動経済学の観点で詳しく解説します。

なぜ短期目標が効果的なのか
「耐用年数8年の最新クーラーを12万円で買えば、毎月の電気代が1800円節約できます」という説明を受けたら、購入したいと思いますか。多くの人は積極的に買おうとは思わないでしょう。

しかし計算すると、毎月1800円の節約は年間2万1600円、8年間で17万2800円の電気代カットです。つまり12万円で購入すれば、5万2800円も得をするのです。
それでも購入意欲が高まらないのは、「人は未来に得られる価値を割引(ディスカウント)して計算するから」です。行動経済学ではこれを「時間割引」と呼び、その率を「時間割引率」と呼びます。

時間割引率の概念を次のような図で示しました。

時間割引率
時間が未来になるほど、主観的な価値は下がります。2年後の1万円は1年後の1万円より主観的な価値が低く、1年後の1万円は現在の1万円より主観的な価値が低く感じられるのです。

時間割引を考えると、英語学習でマイルストーンの設定が必要なことは明らかでしょう。英語学習にかかる教材費や授業料、学習時間などのコストは支払いが確定していますが、ビジネスの成功や留学など未来に得られるリターンへの主観的価値は大幅にディスカウントされています。

毎日・毎週の細かな目標設定を
時間割引の考え方を英語学習に当てはめると、数カ月先のマイルストーンだけでなく、毎日・毎週の学習でも細かなゴール設定が有効だと分かります。以下のような例を参考にしてください。
・毎日、教材4ページ分をシャドーイングする
・毎週、300単語を暗記する

ゴールが達成できたら自分を褒めて報酬を出すことも、モチベーション維持のよい方法です。「おいしいステーキを食べる」「温泉に行く」など、自分の努力を自分でねぎらいましょう。

五月病はマイルストーン設定で解消できます。ぜひ短期的なマイルストーンを設定し、行動に移してみてください。応援しています。

Q.069


50代 メーカー勤務

TOEIC900点でも英語で気後れします。どうすれば自信を持って話せるようになりますか?

TOEICでは900点近いスコアがありますが、英語の商談や会議では自信が持てず気後れします。オンライン会議ではメモを見ながら話していましたが、対面が増えて困っています。どうすれば自信を持って英語を話せるようになるでしょうか?

A.

結論:「英語力=文法能力」という思い込みを捨てましょう。ビジネスで必要なのは、瞬発力を伴う心理言語学的能力と、言い換えや確認で切り抜ける方略的能力です。シャドーイングとパターンプラクティスで瞬発力を鍛え、失敗を恐れず相手の反応を見て調整する姿勢が自信につながります。

孫正義氏の英語から学ぶこと
ソフトバンクグループ創業者の孫正義氏は、スティーブ・ジョブズを説得してiPhoneの日本独占販売を実現し、巨額資金を調達して投資事業を急拡大させてきました。彼の英語による交渉スキルは世界トップレベルです。

しかし、使っている単語や文法は中学レベルが多く、発音も完璧ではありません。実は商談や交渉、会議で使う英語は、このレベルで問題ないのです。
なぜ孫氏は自信を持って英語でコミュニケーションを取れるのでしょうか。理由は「英語力」の定義にあると考えられます。

日本人が誤解している英語力
米国の社会言語学者デル・ハイムズは1970年代に「コミュニカティブ・コンピタンス」という概念を提唱しました。言語能力は文法的に正しく使えるだけでなく、いつ、どこで、誰が、誰に対してなど、状況や文脈に即して使えることが求められるという考え方です。

この考え方を基に、第二言語習得の第一人者である門田修平氏は「コミュニケーション言語能力モデル」として以下のようにまとめています。

リスニング実験結果
コミュニケーション言語能力モデルの概念図(提供:門田修平氏)
1.文法能力: 文法知識に基づいて正しく文を理解し、産出する能力
2.社会言語学的能力: 状況や文脈に合致した言葉を使用する能力
3.談話能力: 一貫した文章 (テキスト)を生み出すための、指示詞 (代名詞)、言い換え、省略などを駆使できる能力
4.心理言語学的能力: コミュニケーションに支障をきたさないため、相手に違和感を抱かせないような流ちょうさで話せる言語処理能力
5.方略的能力: 適切な単語が思い出せないとき、言い換えや繰り返しなどのストラテジー(方略)を使ってその場を切り抜ける能力

日本人は文法能力のみを英語力として捉える傾向があり、単語暗記や難しい文法学習に走りがちです。しかし「英語力=英語でのコミュニケーション言語能力」と考えると、文法能力以外の4つこそ日本人が伸ばす必要がある能力なのです。

TOEICで900点近いスコアをお持ちなら文法能力は十分です。メモを書けることから、社会言語学的能力と談話能力もあると思われます。今後強化が必要なのは、瞬発力を伴った心理言語学的能力と方略的能力ではないでしょうか。

心理言語学的能力の鍛え方
心理言語学的能力は「会話の瞬発力」と言い換えられます。相手の発言に即座に反応できる能力です。日本人は文字を読んでじっくり回答することは得意ですが、会話の瞬発力が決定的に欠けています。学校教育で文法能力習得に集中した結果でしょう。
この能力を身に付けるには「シャドーイング」と「パターンプラクティス」が有効です。

シャドーイングは、耳で聞いた音声をわずかに遅れて口まねする学習法で、リスニングの理解力とスピーキングの瞬発力を高めて無意識に処理する「自動化」を可能にします。

パターンプラクティスは、自分の英語のゴールに合わせたフレーズを徹底して暗記し口に出せるようにする学習法です。この学習法も無意識に処理する「自動化」が可能になります。

シャドーイングやパターンプラクティスについては、それぞれ過去のQ&Aで紹介しています。あわせてご覧ください。
Q&A「半年ほどシャドーイングを続けています。教材を聞きながらスムーズにまねをすることはできるのですが、オンライン会議でネイティブスピーカーの話が全く聞き取れません。やり方が間違っているのでしょうか?
Q&A「シャドーイングについていけません。効果を感じるのにどのくらい時間がかかりますか?
Q&A「ITのプロジェクトマネジメントを英語で行う自信がありません

方略的能力がコミュニケーションの鍵
方略的能力を身に付けるには、英会話レッスンか実務での英語使用が必要です。方略的能力とは、相手の話の内容に加えて表情やジェスチャーなど、総合的に捉えるコミュニケーション能力だからです。

孫正義氏のスピーチを例に見てみましょう。あるスピーチで孫氏はソフトバンクの出資先で、中国ネット通販大手アリババ集団創業者のジャック・マー氏について「his eyes was very strong eyes」と言いました。これを聞いて対談相手はけげんな顔をしたようです。
「strong eyes」は英語では「鋭い目」といった意味で、孫氏が意図した「(意志の)強い目」とはニュアンスが異なります。相手の反応を受けて、孫氏は「shining eyes」と言い直しました。これで「輝く目」というニュアンスが伝わり、コミュニケーションが成立して次のテーマに展開しています。

重要なのは、コミュニケーションに困難が生じたら、繰り返したり違う言葉で言い換えたり確認したり質問したりする能力です。これが方略的能力です。自分の言いたいことが適切に伝わらなくても、相手の反応を見て言い直したり表現を追加したりすればいいのです。
一番よくないのは、失敗を恐れて自分の言いたいことを言えないまま終わってしまうことです。だから方略的能力が重要なのです。

もし英語を間違えても方略的能力でカバーすればいいだけなので、自信を持ってください。応援しています。

Q.070


30代 メーカー勤務

TOEIC L&R 700点台なら英語を話せるようになるまでの学習時間を短縮できますか?

TOEIC L&Rで700点台半ばを取得しており、海外事業部への異動を希望していますが、英語面接に自信がありません。「話せるようになるには1年1000時間必要」と聞きますが、このスコアなら学習時間は短くできるのでしょうか?

A.

結論:残念ながら700点台では学習時間の大幅な短縮は期待できません。実績データでは、ビジネスで話せるレベル(GSE43)に到達するには600時間以上の実学習時間が必要です。計画達成率を考慮すると、1年1000時間の学習計画が現実的です。800点以上なら3カ月程度で到達可能です。

TOEIC スコアと学習時間の関係
鋭い質問ですね。実はTOEIC L&Rのスコアが700点台の人は、英語のスピーキング力を測る「VERSANTスピーキングテスト」でGSEスコア43(※)に到達するまでの学習時間が、700点以下の人と大差ないことが分かっています。それなりの時間がかかることは覚悟が必要です。

※GSE(グローバル・スケール・オブ・イングリッシュ)とは、試験運営ベンダーの英ピアソンが設定している、国際的な英語スキルを客観的に評価する指標。スコアは10から90まであり、「GSEスコア43」は、従来の「VERSANTスコア47」に相当する

GSEスコア43は、海外出張でネイティブ話者に対して自分の担当領域についてプレゼンテーションし、1対1の質疑応答をなんとかこなせるレベルです。英語を使った仕事をしたいビジネスパーソンがスタートラインに立つための最低限のスコアで、仕事で「英語を話せる」と言えるかどうかのラインとなります。

TORAIZの受講生データを基に、TOEIC L&Rスコア別に学習時間との相関関係を具体的に説明します。

TOEIC 700点台の場合
TOEIC L&Rスコアが700点以上800点未満の人のデータを198人分まとめました。

TOEIC700点受講生GSEスコア変化
「TOEIC L&Rのスコアが正確に把握できている」という前提にしたため、198人と統計的には少ない人数になりましたが、参考にはなると思います。

このグラフによると、安定してGSE 43を超えるには1年で600時間以上の学習時間が必要です。ただし注意が必要なのは、この時間は実際に学習した「実時間」であって、学習計画で決めた時間ではないことです。
実は学習計画に対する実施率は70%を切る受講生が多いのです。600時間はあくまで実績であり、当初は12カ月で1000時間程度の学習を計画していたと考えられます。

TOEIC 800点台の場合
TOEIC L&Rスコアが800点以上900点未満の人のデータを148人分まとめました。800点台の人は、1年間の学習時間が200時間を超えたところでGSE 43に達することが多いと分かります。実施率を考慮すると、当初の学習計画としては300時間、約3カ月ということになります。

さらに学習を継続すると、600時間を超えた頃にはGSE 51を突破します。GSE 51は、英語で会話するとき相手を積極的にリードできるレベルとされています。12カ月、1000時間で学習計画を立てた場合、1年で実学習時間は600時間を超えます。このため800点台の人は、1年間ほどで高いレベル(GSE 51)で英語を話せるようになると考えられます。
TOEIC800点受講生GSEスコア変化
TOEIC 600点台の場合
TOEIC L&Rスコアが600点以上700点未満の人のデータを136人分まとめました。このレベルの人がGSE43を達成するには、800時間以上かかると考えられます。
グラフ上では400時間台でいったんGSE43を超えていますが、その後下がっています。800点台の人のスコアが安定して上昇してくるのは800時間を超えてからというデータを参考にすると、800時間以上の学習が必要だと考えられます。
TOEIC600点受講生GSEスコア変化
実績で800時間の学習時間ですから、1年1000時間以上の学習計画を立てて、800時間を達成した頃に「英語が話せる(GSE43)」レベルに到達すると考えられます。

800点が大きな分かれ目
これらのデータから分かるように、学習開始時のTOEIC L&Rスコア次第で、英会話を身に付けるまでの学習時間が異なることは事実です。受講生の実績を見ると、700点台の人が「英語を話せるレベル」になるには、1年で1000時間の学習計画が求められます。

一方、TOEIC L&Rで800点以上取っている人は、学習に300時間、3カ月ほどかければGSE43レベルを達成できると考えられます。800点を超えていれば、比較的短い時間で「英語を話せる」ようになるわけです。

海外事業部への異動の社内公募基準はクリアできているのであれば、あとは「話せる英語」を目指すことになります。まずは英語面接というゴールをクリアするために、「1年で1000時間学習する」計画を立ててみてください。